短期専門家(G2:ウキクサホロビオントコレクション創出)活動報告
短期専門家活動報告
京都⼤学助教 伊藤照悟(派遣期間:2025 年 11 ⽉ 30 ⽇から 12月3⽇)
京都⼤学准教授 ⼩⼭時隆(派遣期間:2025 年 11 ⽉ 30 ⽇から 12月3日)
名古屋⼤学助教 村中智明(派遣期間:2025 年 12 ⽉ 1 ⽇から 12月4 ⽇)
12 ⽉ 1 ⽇から2 ⽇:
小山准教授、伊藤助教、村中助教、カセサート大学のDr. EkpahanおよびDr. YosapolがDHbRC (Duckweed Holobiont Resource & Research Center)のデータおよびサンプル(DNAおよびウキクサ植物)の維持管理方法と活用方法について話し合いました。データベースにあるウキクサ株で、現在までに消失したものについてもDNAサンプルは保存されているものが多くあるため、DNAサンプルの情報もデータベースに載せることで合意しました。また、植物サンプルについては、タイ国内の研究者(大学関係者)への積極的な利用とその成果発表を促進する予定です。また、タイ国内でのウキクサ研究開発促進の一環として、タイ国内産のウキクサ植物の遺伝子発現解析を進める計画を話し合い、将来的に日本側でも積極的に支援することを確認しました。
伊藤助教は、6月の夏至、9月の秋分付近にカセサート大学内の植物園内で生育しているウキクサ植物(ナンゴクアオウキクサLemna aequinoctialis)を用いて行った網羅的な遺伝⼦発現の⽇周変解析に引き続き、冬至時期における遺伝⼦発現解析を実施しました。今回は、12月1⽇の 12:00から 2 ⽇の 9:00 まで の間、3時間ごとにウキクサ植物を採取し、それぞれの時間帯のサンプルから RNA を抽出しました。今後は、春分の時期に同様の 24 時間のサンプリングを実施する予定です。
さらに伊藤助教はタイ側のG3チームが取得・維持しているウキクサ植物をDr. Peerapatと所属する学生のMs. Chomphoonut と共同で液体窒素 を⽤いた急速凍結(ガラス化法)保存を⾏いました。今回は、ウキクサ表面の滅菌を徹底し、前培養にショ糖を含んだ培地を使用することで、健康に生育した植物体を用いました。今回の滞在では、前回までに保存に成功した3種のウキクサ植物(Spirodela polyrhiza, Landoltia punctata, Lemna aequinoctialis)に加えて、タイに自生している4番目の種であり、高タンパクのスーパーフードとして食用にも用いられているWolffia globosaの凍結保存にも挑戦しました。⼀部のサンプルについては短時間の保存のあとに急速解凍し、⼗分な⽣存率の有無を確認中です。以前から保存していた株も含め、現在DHbRCでは、4種19クローンのウキクサを、重複を含め合計58本のチューブで凍結保存しています。
12 ⽉ 2⽇から3 ⽇:
村中助教はセルソーター(BD FACSMelody)を用いた倍数性の確認手法の検討を、Dr. Yosapolのラボメンバー達と協力して行いました。2025年6月の訪問時にも試みましたが、持ち込んだ試薬のDAPI染色にセルソーターが対応しておらず、今回はPI染色の試薬を準備して実施しました。実験条件を最適化した結果、Spirodela polyrhiza
、Lemna aequinoctialis
、Wolfia globosaについて、ゲノムサイズと整合する位置にピークが検出されました。Dr. Yosapl, Dr. Peerapat から提供されたLemna aequinoctialisの5系統は、すべて2倍体と推定されました。実験条件が確立したため、今後はカセサート大が保有するウキクサ植物の倍数性が容易に決定できる見込みです。
補足:本プロジェクトは6つのリサーチグループで構成される。
G1:DHbRC の創設、G2: ウキクサホロビオントコレクションの創出、G3:共生システムの解析と制御、G4:ウキクサ活用技術開発、G5:ウキクサ水処理システム、G6:社会実装