短期専門家活動報告
チーフリサーチャー
北海道大学教授 森川正章(派遣期間:2026年1月21日から1月24日)
1月21日(水)
研究題目3「ウキクサホロビオント機能強化技術基盤の開発(Group3)」に関連して、研究担当者Assist. Prof. Dr. Witcha ImaramとDHbRCオフィスにて、活動項目「3.5 ウキクサと共存微生物から活性物質を探索する」について研究打ち合わせを行った。具体的には、ウキクサ共存微生物が分泌生産するウキクサ成長阻害因子について日本側での精製が完了したため、タイ側で精密質量分析および核磁気共鳴分析を実施し、化学構造の決定に向けた共同研究を開始することで合意した。
写真1 Dr. Witcha(左側)とのGroup3打ち合わせ
1月22日(木)午前
研究題目5「ウキクサホロビオント水質浄化システムの低炭素化効果の検証(Group5)」の研究代表者であるProf. Dr. Chart Chiemchaisriの研究室を訪問し、活動項目「5.2 選定された排水を対象に、自然ウキクサホロビオントシステムの水質浄化効果と低炭素化効果を現場ベンチスケールで開発・実証・最適化する」について打ち合わせを行った【写真2】。具体的には、(1)カセサート大学内で実施中のウキクサ水処理ベンチプラントの運転状況【写真3】と(2)養豚場排水処理池に設置した温室効果ガス自動遠隔計測装置の運転状況【写真4】並びに現地でのウキクサの生育状況について、実験担当の大学院生からそれぞれ報告を受け、問題点の解決に向けた助言並びに今後の計画について相談をした。打ち合わせにはオンラインで山梨大学から遠山忠教授も参加し、有意義な意見交換ができた。次回は、3月下旬に現地へ同行する予定とした。
写真2 Group5打ち合わせ
写真3 ウキクサ水処理ベンチプラントの運転状況
写真4 温室効果ガス自動遠隔計測装置の運転状況
1月22日(木)午後①
研究題目4「ウキクサを原料とした有価物生産技術基盤の開発(Group4)(4)機能性食品」の研究代表者であるAssist Prof. Dr. Suvimol CharoensiddhiとDHbRCオフィスにて、活動項目「4.15ヒトの健康に有効な活性物質を開発する」について打ち合わせを行った【写真5】。その結果、研究は順調に進展し、期待を上回る成果を挙げていることを確認した。特に、マウスを用いた肥満抑制効果やヒト組織細胞培養を用いた腸管バリアの強化効果など、食用ウキクサの有効性について報告を受けた。今年度、研究成果を原著論文としてFuture Food誌に1報, Food Chemistry Advances誌に2報を発表したことは高く評価できる。
写真5 Dr. Suvimol (右側)とのGroup4打ち合わせ
1月22日(木)午後②
タイ側プロジェクトマネジャーのProf. Dr. Arinthip Thamchaipenetおよび錦織明(業務調整長期専門家)と2026年度の計画について打ち合わせを行った。2026年度は事業最終年度にあたるため、研究成果についてタイ側と日本側双方からプロジェクトを総括する公開シンポジウムを開催することとした。シンポジウムはJoint Coordinating Committee meeting(JCC)の時期と合わせて、8月31日〜9月1日の2日間にバンコク市内のホテルで開催する予定。
さらに、日本側からの短期専門家派遣計画について情報を共有した。まず、2月に研究題目4「ウキクサを原料とした有価物生産技術基盤の開発(Group4)(1)バイオ燃料」を推進するために東北大学から大学院生を含めた専門家チームを派遣する。3月には研究題目5の活動項目5.2 「選定された排水を対象に、自然ウキクサホロビオントシステムの水質浄化効果と低炭素化効果を現場ベンチスケールで開発・実証・最適化する」を推進するために山梨大学より専門家を派遣する。同研究題目については4月より、活動項目5.3「G3から提供される選抜ウキクサホロビオントシステムについて同様に開発・実証・最適化する」の推進を強化するために、短期専門家をタイ側Group5に派遣することも予定している。この短期専門家は、北海道大学でGroup3の長期研修を修了した博士学位取得生を想定している。さらに、6月に研究題目6「ウキクサの農家生産支援とウキクサを活用した技術の実用化推進(Group6)「6.2 各研究グループで開発したウキクサ活用技術の炭素収支を評価する」の推進のために国立環境研究所より専門家を派遣する予定。
1月23日(金)
研究題目4「ウキクサを原料とした有価物生産技術基盤の開発(Group4)(1)バイオ燃料」の推進に関する短期専門家派遣計画について、錦織明(業務調整長期専門家)を含め、東北大学の研究代表者久保田健吾准教授とオンラインで打ち合わせを行った。
補足:
本プロジェクトは6つのリサーチグループで構成される。
G1:DHbRC の創設、G2: ウキクサホロビオントコレクションの創出、G3:共生システムの解析と制御、G4:ウキクサ活用技術開発、G5:ウキクサ水処理システム、G6:社会実装
DHbRC: Duckweed Holobiont Resource & Research Center