WADEM 2023 in Killarney, Ireland (2023年5 月9-12日)
~ARCHプロジェクトの活動を世界中に届けるために~

5月 9-12日の日程にてアイルランド・キラーニーで開催されたWADEM(World Association for Disaster and Emergency Medicine)学術会議にARCHプロジェクトとして出席し、カウンターパートでありRCCDHM事務局としてプロジェクトとASEANの間を調整しているタイ保健省Division of Public Health Emergency Management (DPHEM) のMs. Sukanyaと、ARCHプロジェクトのThai Taskforceとしてプロジェクト開始当初よりプロジェクト活動に関わるDr. Prasitも同行しました。今回、このメンバーで参加した目的は大きく三つあり、一つ目はARCHプロジェクトを通じたASEANでの災害保健医療連携の開発について世界に共有する事、二つ目はARCHプロジェクトが開発し活動を本格化させるASEAN学術ネットワークとWADEMとの協働関係についての協議を行う事です。ここには、プロジェクト国内支援委員の先生方も現地で合流し、WADEMとの協議に加わって頂きました。最後には、世界各国の災害保健医療に携わる人材や組織等とのネットワーク作りです。

【発表演題】*日付順

  • 5月9日:ASEAN Strategy for Enhancing Knowledge Management on Disaster Health Management (青野専門家)
  • 5月10日:Development of the Matrix for Regional Collaboration on Disaster Health Management in the ASEAN Region (Ms. Sukanya)
  • 5月11日:Regional Program for Knowledge Co-creation on Disaster Health Management in ASEAN and Japan(喜田専門家)

ARCHプロジェクトは、延長期間中にWADEM公式学会誌であるPrehospital and Disaster Medicine (PDM)第37号 付録1号を発刊した経験があります。日タイの ARCH プロジェクト関係者に加え、 ASEAN 事務局、それまでにRCD をホストしたベトナム、フィリピン、インドネシアの関係者 が執筆共著者(計 43 名が参加)となり、5 本の論文を掲載したARCH 論文集として初の国際ジャーナル発刊となりました。プロジェクトやその他実体験を学術的視点からまとめ、共有する事は経験の知識化の上で重要であり、ARCHプロジェクト自らの経験を体系化し発表する機会となる今回のWADEM2023への参加も、今後のプロジェクト活動を進める上で必要な過程と考えました。また、WADEM学会は世界中の災害保健医療関係者が集まる場でもあり、ASEANの経験が関心を寄せる機会ともなります。特に、中々災害対応の統一化や一体化が難しい政治的背景を持つ他の地域からの関心は高く、様々な質問を受けました。

ポスター発表(5月9日:青野専門家)

ポスター発表(5月9日:青野専門家)

口演発表(5月10日:Ms. Sukanya)

口演発表(5月10日:Ms. Sukanya)

口演発表(5月11日:喜田専門家)

口演発表(5月11日:喜田専門家)

5月10日、プロジェクトとして果たすべき目的の一つであるWADEMのBoard of Directorsとの協議が行われました。本学会にはASEAN Institute for Disaster Health Management (AIDHM)からも登壇者として現地入りしていたため、本協議に加わって頂きました。本学会はWADEMの議長の交代に伴い新ボードメンバーが揃っており、当プロジェクト国内支援委員である久保達彦先生がメンバー入りを果たされた事もあり、プロジェクトにとっては大変有利な時期にASEAN学術ネットワークの推進が重なる事になりました。
https://wadem.org/about/board-of-directors/

本協議に参加されたWADEM新議長、Dr. Donald Donahueと他メンバーの方々に向けARCHプロジェクトとASEAN学術ネットワークの紹介、また当学術ネットワークで行う学術活動に向けたWADEMとの協働についての提案等をプロジェクトより共有しました。両者間の協働の目的は、ASEAN地域における若手研究者、学者などと世界中の災害保健医療関係者などの架け橋となる事を掲げ、具体的にはASEAN学術ネットワーク下で行われる活動(ASEAN学術会議、ASEANジャーナルの発行)におけるWADEMネットワークを通じた人材や技術的支援、WADEM HPでの紹介、東京開催のWADEM 2025でのARCH特別セッションの検討、ASEAN地域からのWADEMへの参加推進等を提案しました。理事会からの反応は大変友好的で、Dr. Donaldからも「WADEMにとっても大変良い提案であり、是非協働の機会を積極的に見つけていこう」とコメントを頂きました。直近ではインドネシア開催のASEAN学術会議への基調講演スピーカーとしてを招待したい旨を伝えました。

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WADEM新理事会との協議(5月11日)

WADEM新理事会との協議(5月11日)

WADEMの公式Facebookにて紹介されたARCHプロジェクトグループ

WADEMの公式Facebookにて紹介されたARCHプロジェクトグループ
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