第2回ARCHプロジェクト国別研修の開催~ASEANと日本、災害医療における相互学習と知識共創をめざして~

2023年11月20日から12月9日にかけて、ASEAN地域から災害医療や救急医療に携わる各国の政府保健省・教育研究機関、医療機関関係者18名を日本に招き、第2回国別研修が開催されました。

【講義・施設見学】

講義や施設見学では、千里救命救急センターを主要な研修拠点として、日本の救急医療や災害医療の専門家が招かれ、緊急医療チームの開発や派遣、自国が大規模災害の被災国となった場合の海外からの受援や活動の調整、災害時の医療情報管理、災害保健医療管理に関する研修や教育システム、災害発生時の医療機関の機能維持など、ASEAN加盟国が重要視するテーマに沿った講義や実習が行われました。また、救急や集中治療室などの医療設備に加えて、備蓄倉庫や非常用発電機などを見学し、千里救命救急センターの災害対策について学びました。

さらに、大阪赤十字病院のロジスティクスセンターを訪問し、緊急医療チームの医療資機材管理についても学びました。

【研修員間の相互学習】

相互学習の一環として、ASEAN地域の研修員たちが「安全な医療施設実現のための施策」、「緊急医療チームの開発計画」、「緊急医療チームの実災害派遣」、「災害保健医療基礎研修の試行開催」、「こころのケア活動」、「災害時保健ニーズ調査書式の実災害での活用事例

【千里メディカルラリーへの参加】

研修プログラムの一環として、千里救命救急センターが主催する第20回千里メディカルラリー(12月2日)にも参加しました。メディカルラリーとは、日本全国の救命救急センターなどから医療チームが参加し、特殊メイクを施した模擬患者を診察し、限られた時間内に的確な診断と治療を実施する技能コンテストです。研修員は医師、看護師、救急救命士、調整員で構成される緊急医療チームとしてラリーに参加し、模擬患者の治療を通じて、日本の病院前医療や救急医療について学びました。

【アクションプラン開発】

ARCHプロジェクトがその開発に大きく貢献した、災害保健医療に係るASEAN首脳宣言実現のための行動計画では、地域目標に加えて、7つの国レベル目標が定められています。研修員は、研修参加前に自国の救急医療や災害医療システムを調査し、Country Reportとしてまとめ、研修期間中に実施されるCountry Analytical Workを通じて自国の現状分析や国目標の達成状況を確認し、自国において優先すべき国レベル目標を決定、その達成のためのAction Planを開発しました。

研修員は、研修終了後に自身が開発したAction Planを自国の災害医療関係者と共有し、最終化することが求められています。国別研修は2025年まで開催される予定であり、ARCHプロジェクトではAction Planの実施状況を確認しながら、各国の国目標達成の努力を支援し続けます。

【相互学習と知識共創】

ARCHプロジェクトでは、ASEAN地域における災害保健医療連携の強化を促進するうえで、相互学習文化の醸成や知識共創の仕組みの構築を目指しています。研修員は国別研修を通じて得た知識だけではなく、研修員間のネットワークを通して、引き続き災害保健医療管理分野の発展に貢献していくことが期待されています。

講義・グループワーク、施設見学/ Lectures, Group works and Facility Visits

講義・グループワーク、施設見学/ Lectures, Group works and Facility Visits

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千里メディカルラリーへの参加/ Senri Medical Rally

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ASEAN各国より18名の研修員が参加/ 18 participants from ASEAN member states

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