ブルネイにて国内研修 (In-country Training) が実施されました!
ARCHプロジェクトの重要なアウトプットの一つである標準訓練の開発は、プロジェクトワーキンググループ(PWG)2の元に形成されたサブワーキンググループにて、タイと日本が主導して進められてきました。開発されたコースは、①災害保健医療基礎コース(Basic Course on Disaster Health Management:Bコース)と、②EMT (緊急医療チーム) Coordination Course:Cコースで、2023年には両コースともAMS参加者向けに試行開催に漕ぎ着けました。Bコースはタイに続いてシンガポール、フィリピンがそれぞれ標準カリキュラムを参考に国内で実施しましたが、ブルネイでの実施は、主に本邦研修 (Knowledge Co-creation Training: KCCP)参加者により提案・実施推進され、2025年5月17日‐20日の日程にて開催に至りました。
開会式:ブルネイ保健省Dr. Hajah Rafidah binti Haji Gharif事務次官代行(中央)
ブルネイは、2022年のKCCPにて行動計画に本本邦研修の実施を掲げていました。それ以降のKCCP参加者、地域連携演習(Regional Collaboration Drill)参加者などを中心にこの研修開催に向けて戦略的に準備を進めてきた結果、見事今回の実施が実現しました。ブルネイ保健省の人材を中心に形成された準備チームのコアメンバーであるDr. Noralinaは「国の政策を提案し策定を達成するのは非常に困難だが、このコース開催を突破口に停滞している災害保健医療管理分野の政策が推進される事を期待している」と語りました。
同コース開催及び講義のメインを担当したDr. Norazlina
コースは、BコースとCコースが並列して開催されました。ファシリテーターは両方のカリキュラムを工夫して組み立て、限られたリソースを効率よく循環させていました。コース開始は、両コース参加者に必要な共通科目を受講し、国の災害対応の基本規則(法律)や枠組み、緊急時の指揮命令系統、国際受援に関する手順等を確認しました。
全体プログラム
Bコースは、主にEMTに所属する医療従事者やロジスティクス担当者など、より現場で活動する技術者が参加し、災害時の状況判断やアセスメントの基本視点、基礎的な必須技術の確認、緊急時コミュニケーション等を学びました。
タイがトリアージ用教材(Bコース)として開発した患者カードを利用し、
演習に臨む参加者
Cコース参加者は、災害時医療活動の意思決定機関である保健省もしくは連携機関に所属する職員らが参加し、発災時初動や、状況把握と判断、国際医療支援国との調整と管理方法などを学びました。
Dr. Norazlinaと共にARCHプロジェクトProject Working Group及びKCCP参加者のメンバーとして
トレーニングの開発に関わって来たDr. Ali(右)
コース最終日は両コース受講者全員で総合机上演習が実施され、受講の成果を確認しました。シナリオは河口付近を中心とする大洪水対応で、油田を持つブルネイはそれら付近への被災を伴う複合災害も想定に入れました。ブルネイのExCON(訓練全体の運営と管理を担うチーム)は、オンラインクロノロジーにてEMTCC(緊急医療チーム調整本部)とEMT双方の進行を随時モニターしながらタイムリーな想定投入を行い、大変有効的なファシリテーション手法を取っていました。
最終日机上演習の様子。2日間共に学んだチームで役割を遂行します。
ブルネイは災害事案の多い国ではありませんが、高い英語運用能力や戦略的思考を持つARCHプロジェクト活動の参加者を中心に、災害保健医療管理開発を推進してきました。ARCHプロジェクトがタイチーム及び国内支援委員と共に開発したコースをフルスケールで国内にて実施した良い事例として、今後のコース改良や地域演習の推進への貢献に期待をします。