下痢症サーベイランス・リフレッシュ研修の実施~患者、医療従事者にとって「わかりやすい」サーベイランスを目指して~
「感染症対策のためのラボサーベイランス強化プロジェクト」では、2023年9月に下痢症サーベイランスでの、便検体採取を担う医療従事者に対し、便検体の採取方法や輸送に関するトレーニングを行い、12月よりサーベイランスを稼働させました。稼働から約半年たった、2024年5月、リフレッシュ研修を実施しました。これは、5つのサーベイランス・サイトで、日々、便検体採集に従事する各人が、お互いの気づきや困りごとなどを共有することで、以降の業務に生かしてもらおうという趣旨で開催されました。
下痢症サーベイランスは、選定されたサイトから便検体を首都・ルサカにあるザンビア国立公衆衛生研究所レファレンス・ラボラトリー(ZNPHRL:カウンターパート機関)に輸送し、検査を行います。サーベイランス・サイトは一番遠くて首都ルサカから車で約1日半かかる場所(北部州 ムプルング・アーバンクリニック)にあり、こういった研修がないと、検体採取施設と検体検査機関の双方が互いの顔を見ながらの情報交換はなかなかできません。久しぶりの再会に和やかな雰囲気の中で、各サイトの進捗や、サーベイランス稼働前には想定していなかった現場の様々な課題が報告されました。
例えば、便検体採取までの流れです。もともとは、下痢と診断された患者は、検査室に行き、検査室で便容器を受け取り、トイレで便を採取し提出するという流れになっていました。でも実際には、患者側は、検査室がどこか「わからない」、便容器を受け取ってもどうしていいか「わからない」、自宅で採取した便の保存方法を「知らない」。医療従事者側も、サーベイランスの存在を「知らない」、患者にどう説明していいか「わからない」等、「知らない」「わからない」が理由で、正しく便検体が採取されていない事例があることが判明しました。
これらの課題に対し、どうすれば医療従事者に本サーベイランスを知ってもらい、患者にわかりやすく説明できるか、アイディアを出し合い、参加者からは、案内板を作成してはどうか、パンフレットを作成して患者に配ってはどうか、など、実現可能性の高い解決案が次々に出され、研修後すぐにパンフレット作成を始めようという意見でまとまりました。
今回の研修ではお互いの現場で起きている事例が多く共有され、お互いの意識の向上に繋がりました。次回の研修の要望も非常に高かったため、プロジェクトでは、今後もリフレッシュ研修を実施してまいります。
参加者の質問に回答する今村専門家
会場全体の様子
グループフォト