コレラ・アウトブレイク対応 コレラ菌の薬剤感受性をモニタリングしています。
プロジェクトでは、コレラを含む下痢症サーベイランス(Acute gastroenteritis:AGEサーベイランス)を2023年10月に開始しました。様々な地域の医療施設で採取された便検体に対して、ザンビア国立公衆衛生研究所レファレンス・ラボラトリー(Zambia National Public Health Reference Labolatory (ZNPHRL))で検査を用い、どんな病原体が下痢症をおこしているのか、細菌が原因の場合にはどのような薬剤感受性か(どのような抗菌薬が効きやすいのか、抗菌薬が効きにくい耐性菌ではないか)、などを調べています。
このようなAGEサーベイランスを通して準備してきた検査体制を生かし、2023年10月に首都ルサカで発生したコレラ・アウトブレイクでは、検出されたコレラ菌の薬剤感受性を調べ、耐性菌の出現がないかモニタリングを行っています。コレラの治療は、水分や電解質の補充が中心ですが、重症な患者さんには、抗菌薬が重要な治療の選択肢となります。一般的に推奨されている抗菌薬(ドキシサイクリン・アジスロマイシンなど)が耐性菌の出現により有効でなくなった場合、その他の抗菌薬選択を推奨したり、治療ガイドラインの変更を検討したりしなくてはなりません。プロジェクトとZNPHRLによる検査の結果、ドキシサイクリンやアジスロマイシンが効きにくい可能性のある耐性菌が、限られた割合ではあるものの首都ルサカで初めて検出されました(英文学術雑誌American Journal of Tropical Medicine and Hygieneに掲載予定)。これらの検査結果は、医療従事者や保健担当者らに迅速に共有され、コレラ治療センターでの適切な抗菌薬選択や、保健担当者らによるルサカ内での薬剤感受性監視体制の強化に役立てられました。
細菌学部門で検査を行うZNPHRL職員
寒天培地上のコレラ菌のコロニー