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ラボマネジメントの活動を紹介します1 概要編

感染症対策のためのラボサーベイランス強化プロジェクトでは、ラボマネジメント能力の向上を成果の一つに掲げています。このため、Zambia National Public Health Reference Laboratory(ZNPHRL)にラボマネジメント専門家が常駐し、日々ラボ職員とラボ機能維持のための活動に取り組んでいます。

ラボマネジメントとは

ラボマネジメントと聞いて、皆さんはどんな活動を想像するでしょうか?「マネジメント」という言葉の通り、「リソースを効率的に活用して円滑に組織を機能させ業務を遂行し、組織の目標を達成するための体系的な活動」であることは想像に容易いかもしれません。これをラボで実践する場合、ラボをスムーズに機能させ検査や実験(業務)を遂行し、公衆衛生対応や研究(目標)を達成するために必要な活動とはいったい何でしょうか。

理系の大学に通われていた方は、研究室に所属した際にはまず先輩や研究室の先生から研究室のルールについて教わったのではないでしょうか。

  • 微生物を扱う際には必ず白衣と手袋を着用しましょう
  • 実験廃液は分別してから適切に廃棄しましょう
  • 機械が壊れたら放置せず指導教員に報告し修理を行いましょう
  • 消耗品の在庫が残りわずかになったら指導教員に報告し発注しましょう
  • 年に一回安全講習会を受講しましょう・・・

こうした細々とした研究室のルールは、研究室に所属する人たちが安全かつスムーズに実験を行えるようにするためのものです。機械が壊れたら放置せず修理したり、消耗品が残りわずかになったら発注したりすることはラボに限らず円滑な業務遂行のためにどんな組織でも必須の事柄ですが、微生物や試薬などの取り扱いに関してはラボ特有の事柄です。研究室に所属したばかりの学生だった頃は「ルールがたくさんあって大変だな」と思った方も多いかもしれません。しかしながら、こうしたルールは専門的で高度な技術を用いて実験・研究を行う研究室・大学が、実験者である学生の安全を守るためのものであると同時に、国の法律や規則に則ってルールを定め、それを遵守することで地域社会や周辺環境の安全を確保し、社会に対する責任を果たしていることに他なりません。毒劇物に指定されている試薬を用いて実験を行うことや、ヒトに病気を起こすウイルスや細菌などを用いて実験を行うことは、社会が大学・研究所に対してそれを許す信用のもとに成り立っているのです。そのため、実験に使用した毒劇物を適切に分別せずに排水へ垂れ流したり、知らぬ間に大学や研究所の毒劇物がだれかに盗み出されてしまったり、実験に使用した微生物が実験室外に拡散し周辺環境を汚染してしまったりしたら、大学や研究所に対する社会的信用を失墜させ、法律に基づいた罰則が適用されるだけでなく、社会からの信頼が得られずに将来的に実験・研究を続けていくことが困難になりかねません。

ZNPHRLにおける公衆衛生検査と質管理

上述のような、実験・研究に関する業務を円滑・安全に遂行するために研究所が果たす責務に加え、ZNPHRLは公衆衛生検体・臨床検体についての検査を行っているので、これらの検査結果が正確で信頼できるものであることを担保しなければなりません。そのためには、検体の受け取り時には検査依頼書にすべての必要事項が記載されているか確認したり、受け取った検体の量や質が検査に適したものであるかを確認し記録に残したり、検査試薬はその性能を保つために製造元の指示書通りに保管し使用していることを確認し記録に残したり、検査の手順を標準作業手順書(SOP)として標準化して均質な検査を実施できるようにしたり、検査に携わるすべての職員が必要な技能を持っていることを定期的に確認し記録に残したり・・・と、日々行われる検査の全工程を対象として、その検査手順や使用する試薬・機材が検査に適したものであり、決められた手順に則って実施しているということを記録に残すことが必要です。また、実施する日々の作業の記録を残すことで異状が生じた際にはいち早く気づくことができます。そうした検査結果の質を担保するための一連のシステムを「質管理」といいます。ZNPHRLでは、この質管理についても力を入れており、こうした日々の作業を経て、信頼に足る正確な検査結果を患者・病院に返したり、公衆衛生上の対応の根拠とするためのサーベイランスデータとして積み上げ社会に還元したりしています。

ZNPHRLでは、国際規格ISOの取得を目指しています

特に昨今、世界的な気運として検査を実施する機関が自らの検査の質を担保し対外的に示すために、国際標準化機構(International Organization for Standardization: ISO)が策定した検査室のための国際規格であるISO 15189(臨床検査室)やISO/IEC 17025(試験所・校正機関)などに沿った認定を取得する動きが加速しています。ザンビアでもその動きは顕著であり、国内の複数の臨床検査室や試験所・校正機関がすでにISOによる認定を取得しています。ZNPHRLでも、自らが提供する検査が国際規格に沿った信頼に足る検査であることを示すためにISOによる認定を目指しています。

ZNPHRLには、ラボ管理者(Lab Manager)をはじめとしてZNPHRLのラボ管理の実務を担うために、(1)質管理オフィサー(および、サポートメンバーから成る質管理チーム)、(2)安全オフィサー、(3)機材オフィサー、(4)在庫管理オフィサーらが配置されています。プロジェクトでは、これらのオフィサーらと共に、(i)ZNPHRLが提供する検査が正確であり信頼できるものであると示すための質管理に関する活動、(ii)バイオセーフティ・バイオセキュリティを強化するための活動、(iii)機材管理に関する活動、(iv)在庫管理に関する活動を主な対象としています。それぞれの活動について、次回以降紹介していきます。

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質管理オフィサー代理、微生物ユニット職員らおよびJICA専門家が共に質管理に関する検証作業を実施中