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平時の下痢症サーベイランス体制強化がコレラの早期検知と対応に貢献―ザンビア北部州コレラ・アウトブレイク

チーフアドバイザーの今村忠嗣専門家とザンビア国立衛生研究所(Zambia National Public Health Institute; ZNPHI)職員が、ザンビア北部州ムプルング郡で発生したコレラ・アウトブレイク対応で、8月と9月、2回にわたり現地で支援活動を行いました。

2023年以降、プロジェクトは、ザンビア国内のコレラ・ホットスポット(注1)を主対象とした下痢症サーベイランス(Acute Gastroenteritis; AGEサーベイランス)の立ち上げ・運営を支援してきました。複数のサーベイランス・サイトのうち、最北端に位置するムプルング郡は、首都ルサカから1,000 km以上離れた遠隔地に位置しています。支援や物資が届きにくく、郡内にコレラを検査診断可能な医療施設もないため、検体を200km以上離れた州都カサマ市まで運搬しなければならず、検体採取から診断まで多大な時間を要していました。その一方で、同郡は、首都ルサカに次いでホットスポットを多く抱え、コレラ流行の危険度が高い地域です。このため、コレラ流行を早期に検知し、迅速な対応を可能にする体制の構築が課題でした。

プロジェクトでは、ムプルング郡の公立診療所であるムプルング市診療所(Mpulungu Urban Clinic)を定点サイトとして、今村専門家とザンビア国立衛生研究所職員が定期的に現地に赴き、平時からの便検体収集・検査体制の構築・強化を支援してきました。現地で使用する便検査プロトコルの検証においては、本プロジェクトの兼子千穂専門家が中心となって取り組む質管理強化の取り組みが役立ちました。今回のアウトブレイクでは、こうした継続的な取り組みが功を奏し、州都カサマ市へ検体を運搬することなく、同診療所がコレラ患者を検査・診断できたことで、コレラ・アウトブレイクの早期検知、対応が可能となりました。

現地では、同診療所および郡保健局を拠点として便培養検査や疫学データ分析を支援するとともに、湖畔や本土の診療所を巡回し、適切な便検体収集・保管・診療所への輸送や、患者情報の収集に関する技術指導を行いました。また、2023年からAGEサーベイランスの運営や技術訓練をともに行う中で培われてきたムプルング郡保健局、ZNPHI、プロジェクトメンバーの信頼関係が、アウトブレイク現場での円滑なコミュニケーションを促進、関係機関の有機的な連携による迅速な対応の展開を可能にしました。

プロジェクトでは、こうした平時からの公衆衛生危機に対する予防・備え・対応の強化を含むザンビアの保健システム強化に資する協力をこれからも続けていきます。

注1:コレラ流行の発生危険度が高く、アウトブレイクへの備えや警戒が必要であるとザンビア保健省により定められている地域のこと。

ムプルング市診療所でコレラ疑い患者から提出された便検体の培養検査を行うZNPHI職員

タンガニーカ湖沿いの医療施設で便検体採取・保存・輸送の方法に関する技術支援を行うJICA専門家とZNPHI職員

コレラ疑い患者から採取された便検体を確認するJICA専門家とムプルング郡保健局職員

(アウトブレイク前)ムプルング市診療所で便培養検査の技術訓練を行うZNPHI職員とムプルング郡保健局職員

(アウトブレイク前)ザンビア国立公衆衛生研究所 レファレンス・ラボラトリーにて便検査プロトコルの検証や質管理の取り組みを行うJICA専門家とZNPHI職員