ラボマネジメントの活動を紹介します3 バイオセーフティ・バイオセキュリティ(BSBS)活動編
今回はバイオセーフティ・バイオセキュリティ(BSBS)に関する活動について紹介します。
概要編で紹介したように検査室・研究所(ラボ)においてラボ職員が安全に検査・実験を行うこと、また周辺環境と地域社会の安全と健康を守ることは最優先事項です。有害な病原体、毒素、微生物等によって引き起こされる災害を防止するための一連の対応策をバイオセーフティ・バイオセキュリティ(BSBS)と呼んでいます。
- バイオセーフティ:病原体や毒素の安全な取り扱い(意図しない曝露の予防)と封じ込めのための原理・原則とその対策のこと。
- バイオセキュリティ:病原体や毒素の意図的または過失による放出、盗難、誤使用等を防止するために講じる対策のこと。
そのために、プロジェクトでは、ザンビア国立公衆衛生研究所レファレンス・ラボラトリー(ZNPHRL)のラボ管理者や安全オフィサーらと共に、ZNPHRLのラボ内のバイオセーフティ・バイオセキュリティの強化とリスク管理のための体制やルールの整備と実践を支援しています。
ZNPHRLは検査室を想定した造りではない建物に間借りする形でラボを構えているため、BSBSには特に気を遣わなければなりません。そこで、プロジェクトでは、「ゾーニング」の導入支援を行っています。「ゾーニング」とは取り扱う検体の種類と作業内容別にラボ内の各部屋を物理的に分ける対策です。取り扱う病原体の性質によりレッドゾーン(感染性のある病原体・臨床検体)とオレンジゾーン(感染性のない検体)にわけることで、ラボ内相互汚染やラボ内感染のリスク、加えて病原体を検査室外へ意図せず持ち出してしまうリスクを低減させることに役立ちます。
【レッドゾーンに入る際は専用ガウンとスリッパを着用することで相互汚染を防ぐ】
また、上述の物理的なバイオセーフティ対策と併せ、マニュアルやルールの策定と関連文書の整備とそれらの履行を通して、ラボ内の安全を「管理」するためのソフトコンポーネント、例えば、安全を管理するために必要なルールの文書化やフォームの作成を行っています。また、こうしたラボ内のルールや注意事項の定期的なアップデートと周知のために内部向け安全講習会のさらなる充実化と定期開催を支援しています。
さらに、ZNPHRLには公衆衛生上重要で取り扱いに注意が必要な感染症が疑われる検体が持ち込まれることがありますが、上述のように現在の施設は検査室とすることを想定して造られた建物でないため、安全面と機能面から、公衆衛生検査機関としての任務遂行が難しい場面があります。こうしたことを受けてプロジェクトでは、公衆衛生検査機関であるZNPHRLが、より安全にその任務を遂行することを可能とするべく、ハード(施設・設備面)とソフト(研修等)の両面から支援を行っていく予定です。
【バイオセーフティ講習会】
【ザンビア国内の炭疽検体マネジメントガイドラインの作成・レビュー会議にZNPHRL職員とともに参加するJICA専門家】