5S-KAIZE-TQM手法の実践を強化するための病院でのオンサイト研修を実施しました
2025年1月と2月に各病院の部門長と職場改善チーム(Working Improvement Team: WIT)を対象にしたオンサイト研修を実施しました。この研修では、病院の質改善(Quality Improvement: QI)活動を強化するための5S-KAIZEN-TQM手法の実践能力の向上を目指しました。
ビンドゥラ州病院にて、WITに講義をする保健省質保証・患者安全局(以下、「QAPS局」)局長(写真右)
研修概要
研修内容は、2024年9月〜11月に実施された外部モニタリング・スーパービジョンの結果を基に、各病院の課題に焦点を当てて構成されました。各病院で2日間にわたり行われ、1日目は部門長向けの基礎研修、2日目はWIT向けの5S研修が実施されました。
部門長向けの主な研修項目
- 5S-KAIZEN-TQM手法の基礎
- 外部モニタリング・スーパービジョンの結果共有
- 顧客(患者)満足度調査とサービス提供に関するタイムスタディ
- 5S-KAIZEN活動の部門内セルフモニタリングと小さなカイゼン記録シートの活用
- QI活動における部門長の役割
WIT向けの主な研修項目
- WITの役割とQI活動の推進
- 5S-KAIZEN-TQM手法の具体的な進め方
- S4(清潔)とS5(しつけ)の活動事例紹介と実践方法
チノイ州病院にて、前回実施した外部モニタリング・スーパービジョンの結果を共有する日本人専門家(写真左)
グウェル州病院にて、部門長に対する講義をする質改善チームメンバー(写真中央)
マロンデラ州病院にて、QI活動における自身の役割について議論する部門長たち
パリレニャトワ中央病院にて、WITに講義をする保健省QAPS局職員(写真右)
チトゥンギザ中央病院にて、研修開始の挨拶をするQAPS局副局長(写真右)
ユナイテッド・ブラワヨ病院にて実施されたWITへの研修の様子
研修成果と今後の展望
本活動を通して、合計約1,600名(部門長653名、WITメンバー985名)に対して研修をしました。参加者による研修評価では、研修内容への満足度が高く、多くの参加者が自部門で適用可能な質改善活動のアイデアを得たと回答しました。一方で、研修期間が短いと感じる意見も約2割あり、今後の研修プログラムの改善に向けた課題となりました。
今後、各病院において、部門長のリーダーシップの強化とWITを中心とした5S-KAIZEN活動の推進を通して、医療サービスの質と安全のさらなる向上が期待されます。特に、これまで理解と実践が不十分であったS4(清潔)の活動について、研修で提供されたアイデアを基に実践が進められ、効果的な活動が推進されることが期待されます。
2025年4月から実施予定の第4回外部モニタリング・スーパービジョンにて、各病院での取り組みの進捗と成果を確認していきます。