全国10州の州保健局職員を対象にカイゼン研修を実施しました。
2025年8月19日から21日の3日間、西マショナランド州カドマ市で、全国10州の州保健局職員を対象としたカイゼン研修を実施しました。この研修では、①州保健局が自らの職場でQCストーリー(サービス提供や組織管理における現状の課題の選定から、問題の再発予防と標準化までの7つのステップに沿って問題解決を進める手法)を用いたカイゼン活動を実践できるようになること、②州内の医療施設が実施するカイゼン活動に対して適切な指導・支援ができるようになることを目指しました。全国の州保健局から計20名が参加し、本手法に関する知識や実践力を身に着けました。
QCストーリーを用いたカイゼンの現状分析(ステップ2)のグループワークをする参加者
【研修概要】
本研修は、3日間で最大限の効果を得られるよう、研修参加条件を「5S研修受講経験」と「自施設で質改善活動に従事していること」として設定しました。初日の冒頭で5S-KAIZEN-TQM手法の概要を解説し、その後は、QCストーリーのステップ1「テーマ選定」からステップ7「標準化」まで、それぞれ講義と演習を交互に行い、参加者の本手法に関する理解を深めるとともに実践能力の習得を目指しました。最終日には、参加者が自施設でQCストーリーを実践する際や管轄病院に対する指導に役に立つモニタリングツールを紹介しました。
5S-KAIZEN-TQM手法の概要について講義をする保健省質保証・患者安全局(QAPS局)副局長
現状分析(ステップ2)のグループワークをする参加者とその支援をする日本人専門家
根本原因分析(ステップ3)のグループワーク結果を発表する参加者
対策実施(ステップ5)について講義をする日本人専門家
対策実施(ステップ5)のグループワークをする参加者とそれを支援するQAPS局職員
標準化(ステップ7)について講義をするQAPS局職員
【研修成果】
州保健局からの参加者全員が3日間すべての日程に参加し、研修修了証を受領することができました。本研修では研修初日と最終日にプレテストとポストテストを実施し、研修効果の検証(知識の習得の程度)をしました。プレテストでは平均点75.4点、ポストテストでは平均点87.2点と大きく向上しました。教育学等で学習効果の評価のために広く使われる「効果量」は1.05となり、知識の習得に関して本研修の効果が大きかったことを示唆しています。また、研修参加者の研修全体に関する満足度評価では、回答者の全員が満足または大変満足と回答しました。これらの結果から、本研修を通して参加者の知識の習得が進み、参加者からの満足度も高い、有意義な研修となりました。
プレテストとポストテストの結果(箱ひげ図)
ポストテストを受ける参加者たち
研修修了証を受け取るハラレ州保健局長(写真右)
【今後への期待】
研修の最後には、参加者と共に、研修実施後に各州保健局が実施すべきことを議論し、「州保健局の他スタッフに研修をすること」や「カイゼン活動を実践している州内の医療施設や州保健局内での技術的な支援を提供すること」等を確認しました。プロジェクト終了まで残り約8ヶ月。今後も州保健局の皆さんが自分たちの職場や州内の医療施設でカイゼン活動を自立して進められるよう、技術的な支援を続けていきます。
研修参加者とファシリテーターの集合写真