第3回年次進捗報告会を開催し、プロジェクト成果を共有しました
2026年3月16日から18日までの3日間、ハラレ市内のホテルにて、医療サービスの質向上に関する第3回年次進捗報告会が開催されました。本プロジェクトの集大成となる今回の報告会には、保健省、州保健局、対象病院、県病院、開発パートナー、在ジンバブエ日本国大使館、JICAなどから計112名が参加しました。
年次報告会参加施設の代表者の集合写真
【エンドライン調査結果とプロジェクトの成果】
本報告会では、プロジェクトの成果とエンドライン調査の結果が発表されました。主な成果として、これまでに3,698名の病院職員と州保健局職員が質改善(QI)活動の研修を受講し、過去2年間で業務効率を改善する300以上の取り組みが報告されたことが共有されました。エンドライン調査では、10の対象病院がプロジェクトによる外部モニタリング・スーパービジョンで70%以上のスコアを達成し、すべての対象病院がQCストーリーを用いたカイゼン活動を実践していることが確認されました。このことから、医療現場での5S-KAIZEN活動が推進・強化されたことが確認できました。また、対象14病院の患者の待ち時間の中央値が保健省の基準(中央病院240分、州病院180分)を満たし、医療サービス提供における一定の改善が図られました。このほか、病院スタッフの経験価値調査(Staff Experience Survey)の平均スコアが69.4%(2022年)から74.0%(2025年)に向上するなど、職場環境の改善や質向上活動に対するモチベーションの向上がデータとして実証されました。
年次報告会の目的と全体プログラムについて説明する日本人専門家
プロジェクトの活動実績と成果の発表をする保健省質保証・患者安全局(QAPS局)職員
【質と安全に焦点を当てた好事例の共有とプロジェクトの枠組みを超えた広がり】
各対象病院や州保健局からの進捗報告および好事例の発表では、医療の質と患者の安全に直結する非常に優れた取り組みが、これまで以上に数多く共有されました。QCストーリーを用いたカイゼン事例や、職員や患者にとって安全な病院環境を整備するための「小さなカイゼン(Quick KAIZEN)」など、各病院が現場の課題に真摯に向き合い、実践を重ねてきた様子が伺え、参加者間で活発な意見交換が行われました。
さらに特筆すべき点として、プロジェクトの当初の対象施設(中央病院・州病院)の枠組みを超えた、県レベル(District level)への活動の広がりが確認されました。南マタベレランド州保健局からは、管轄内の県病院等に対する5S-KAIZEN-TQM手法の展開と実施支援の取り組み事例が報告されました。また、プラムツリー県病院、チピンゲ県保健局、カドマ地区病院からも独自の好事例や実践の教訓が発表され、本手法に関する将来の全国展開の実現可能性が示唆されました。
チトゥンギザ中央病院による年次報告
南マタベレランド州保健局による州内の5S−KAIZEN−TQM手法の普及に向けた取組事例紹介
活発なQ&Aセッションの様子
活発なQ&Aセッションの様子
【プロジェクト終了後の持続性確保に向けたパネルディスカッションとロードマップ】
本報告会の重要なテーマの一つとして、プロジェクト終了後の活動の持続性と全国展開について、保健省QAPS局長のファシリテーションのもと、パネルディスカッションが行われました。立場や所属施設が異なる6名のパネリストから、病院長をはじめとする院内のリーダーの役割、組織内の知識・技術の継承の仕組みづくり(Institutional Memory)などの重要性が強調されました。特に、イングチェニ中央病院の院長が、「何がないかよりも、何を有しているか」という視点で現状を把握し、実現可能な取り組みを続けることが重要である、という、カイゼン手法の基本理念に通じる発言をしていたことが印象的でした。
また、QAPS局より、2026年から2030年に向けた「質と患者安全の取り組みの戦略的かつ持続的な実施に向けたロードマップ」が発表されました。このロードマップでは、以下を主要な柱として、国全体の保健システムに質改善活動を定着させていく方針が示されました。
- 質改善のためのガバナンスとシステムの強化
- 質改善のための人材育成
- 医療施設に対するモニタリングと技術支援
- 相互強化のための学び合いの文化の醸成
- 表彰・評価メカニズムの導入
パネルディスカッションの様子
ロードマップの骨子を発表するQAPS局長
【5S-KAIZEN活動に関する表彰】
本報告会では、昨年と同様に、小さなカイゼン活動の好事例が対象施設から紹介され、参加者による投票の結果、優秀な活動が表彰されました。さらに、昨年の外部モニタリング・スーパービジョンの結果や患者満足度調査結果などをもとに優秀な病院や州保健局が表彰されました。
最も高い患者満足度を得た州病院として表彰されたマロンデラ州病院
優れた「小さなカイゼン」を実践した州保健局として表彰されたブラワヨ州保健局
4年間にわたる本プロジェクトを通じて、ジンバブエの医療現場における5S-KAIZEN-TQM手法は確実に実践され、持続可能性のための保健省・州保健局・対象病院の実施体制の整備と強化に関する成果が確認されました。今後は、今回発表されたロードマップに基づき、保健省が主体となって、州保健局や対象病院とともに、医療サービスの質の向上に向けた取り組みを持続・発展させ、プライマリー・ヘルス・ケアレベルを含む県レベルへも波及させていくことが期待されています。
開会挨拶をする在ジンバブエ日本国大使
開会挨拶をする保健省ハラレ州保健局長
参加者に好事例集の目的や使用方法等を説明するQAPS局職員
QCストーリーを用いたカイゼン活動の好事例を紹介する日本人専門家