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成果2:医療現場が"自ら変わる力"を育てる――リファラル体制の最適化と課題解決力研修

地域医療の質を高めるには、診療ガイドラインだけでなく、それを実践し、継続的に改善する「人」と「仕組み」が欠かせません。キルギスで近年問題となっている非感染性疾患(NCDs)を対象に、JICAと保健省が連携し、医療従事者が自ら課題を発見し、解決策を立案できる新たな研修体系を構築しました。患者の流れを整理するリファラル体制の最適化と、現場の課題解決力強化に取り組んでいます。

患者の流れを「見える化」したリファラル体制

これまでキルギスでは、首都ビシュケクの三次病院に軽症患者が集中する問題がありました。これを是正するため、プロジェクトではチュイ州内の州レベル二次医療施設における5つのNCDsの診断・治療に必要な医療サービスの提供状況を一覧表にして示す「患者ルーティング表」を開発しました。
この表は各地区の医療機関で共有され、患者の紹介先の判断に利用されています。2025年時点で、対象施設での医療サービス提供状況の定期更新とモニタリングが行われています。この仕組みは現在、保健省により全国展開に向けた活用方法が検討されており、当該地域で効率的な医療提供の実現に一歩近づきました。

"考える医療者"を育てる課題解決力研修

プロジェクトのもう一つの柱が、医療従事者の課題解決力強化研修です。現場のスタッフが自施設の問題を多面的に分析し、根拠に基づいた実現可能な改善策を立てる力を育てるためのカリキュラムです。国立継続教育センターの公式研修として登録されており、既に対象地域のチュイ州以外でも少しずつ研修が行われています。
研修は、「課題の抽出」「データ分析」「解決策の立案」を体系的に学ぶ構成。受講者は自分たちの施設で直面しているNCDs日常診療に関わる課題(例:NCDs患者の治療への参加度合いが低い、など)をテーマにグループワークを行い、自分たちで実施できる行動計画を策定します。2025年9月時点で、対象地域の医療従事者の53%が受講済み。これからも研修を継続し、カバー率を高めていく計画です。
研修の成果は現場にも表れています。トクモク市の診療所では、受講した医師が自発的に院内ワークショップを開催。診察室のプライバシー不足という課題を特定し、看護師の問診室と医師の診察室を分けることで、患者満足度を改善しました。また、待合室の椅子を増やすなど、すぐに実践できる改善策も実施され、他の地域施設にも「自分たちで変えられる」という意識が広がっています。

現場主導の改革を未来へ

この課題解決力研修は講義形式ではなく、実践的な参加型ワークショップ型で実施され、JICA専門家とマスタートレーナーが共同でキルギスの現実的な課題に沿って教材を開発しています。現在は国立継続教育センターに所属するマスタートレーナーを中心に、将来的にキルギス全土で研修を展開できる講師育成を進めています。
この取り組みは単なる知識の獲得ではなく、「現場が自ら考え、改善を継続する文化」を根づかせるものです。また、プロジェクトの対象であるNCDsだけでなく、現場の小さな課題から国レベルのあらゆる問題に適用できるものです。医師・看護師が自ら課題を見つけ、データで検証し、患者に還元する――その繰り返しが、地域医療の質を底上げしていきます。JICAとキルギス保健省が共に築いたこの仕組みは、"教えられる医療"から"自ら変える医療"への転換を象徴する取り組みです。

課題解決力研修中の様子

研修修了証授与時の集合写真