JICAパイロット事業として「ドキュメント・トラッキング・システム」を開発、シェムリアップ州政府に移管
JICAシェムリアップ・スマートシティプロジェクトでは、複数のパイロット事業を実施しています。その一つ「行政文書マネジメント」では、行政内の文書管理に資するWebシステムを開発しました。
これまで、シェムリアップ州政府では、多数の行政文書が紙ベースで各部署に回覧されており、文書の所在が不明確になることが頻繁にありました。この問題を解決するため、スマートシティのパイロット事業の一つとして、文書の追跡と管理を容易にする政府関係者向けのシステムを開発しました。
このシステムは、「ドキュメント・トラッキング・システム(DTS)」と命名されました。行政職員は文書を回覧する際にQRコードをスマートフォンで読み込み回覧状況を更新、これにより全職員がパソコンやスマートフォンを通じて、文書回覧の現在位置をリアルタイムで確認できるようになりました。更に、この取り組みは将来的なペーパーレス化へのトレーニングも見据えています。
2024年4月、パイロット事業の実施期間中ながら、DTSの運営主体がJICA専門家チームからシェムリアップ州政府に正式に移管されました。この移管により、シェムリアップ州政府がDTSを自らの体制・予算を用いて運営・維持管理することとなります。移管後も、JICA専門家チームは、運営上の課題や問題が生じた場合には、適宜フォローアップやアドバイスを提供する予定です。
ドキュメント・トラッキング・システム(DTS)の全体イメージ。
このシステムの仕組みの概要は以下のとおりです。
- 1 . 行政文書の登録:シェムリアップ州・事務課の職員がPCを使用して、行政文書の情報をシステムに登録します。
- 2 . 所在の更新: 文書を受け取った職員がスマートフォンを使って、回付中の文書の状況をリアルタイムで更新します。
- 3 . 文書のモニタリング: 関係する職員が、パソコンやスマートフォンから文書の現在の所在を随時確認できます。
多数の文書が、州政府の事務課に集まります。
職員は回覧文書の情報をシステムに登録します。
データを登録後、QRコードを出力して、回覧する文書とセットにします。
文書を必要な課に回付します。
受け取った課の職員は、QRコードを使用して文書の所在をアップデートします。
アップデートされた情報はそのままスマートフォンで確認ができます。
さらに別の課で文書が回覧されます。再度、QRコードで文書の所在をアップデート。
文書の所在状況は、PCからも確認ができます。