領域別看護教育推進のためのワークショップの開催
2025年9月19日
9月18日に領域別看護教育の現状分析と今後のアクションプラン策定を目的とするワークショップをシェレバングラナガル看護大学(CONSBN)で開催しました。
開催地であるCONSBNと、マイメンシン、シレット、バリサル、ガジプールの対象看護大学からそれぞれ学長とマスタートレーナー(MT)、またCONSBNにて教育の質向上を推進する各種委員会メンバーも加えた合計17名が参加しました。
バングラデシュでは、小児看護、精神看護など専門分野に分化した「領域別」看護教育というコンセプトが浸透していません。そのため看護大学では教員の専門性に関わらず、学長等の指示のもと各教員の受け持ち科目が決定されることが一般的です。そもそも教員が専門分野を持たない、または明確ではないことも珍しくはありません。近年は専門分野の学位を有する若手教員も徐々に増えてきていますが、その専門性を活用することなく、教育経験の長い教員が自身の経験に基づき授業を実施していることも多いようです。
そのため領域別看護教育の導入にあたっては、学長と教員が領域別看護に対する理解を深め、各科目への教員配置の見直し等を図ることで、領域別看護教育を適切に実施できる体制を構築する必要があります。
ワークショップでは、日本人専門家が領域別看護教育の意義と事例を紹介した後、既に体制整備を進めている本プロジェクトの重点看護大学であるCONSBNとマイメンシン看護大学(MNC)がその経緯を発表しました。ワークショップの後半では、シレット・バリサル・ガジプールの看護大学MTが教員の背景分析と配置案を検討し、事例を参考に、自校に適した方法での導入に向け、その展望を発表、共有しました。
今回のワークショップを通して、各対象大学が領域別看護教育の導入に向けて取るべきアクションを具体化することができました。またいずれの大学においても教員により担当する科目(授業)数の偏りがあり、特定の教員の負担が大きいことが明らかになりました。こうした状況を改善する手段としても領域別看護教育の体制導入が有用である可能性が示唆されました。
プロジェクトでは、各大学におけるFD研修*1の実施も支援しており、今回のワークショップは複数の対象校の合同FD研修として実施されました。重点校がリーダーシップを発揮したことにより、FD研修、そして相互学習のグッドプラクティスにもなりました。こうした活動を通じ、各対象大学で領域別看護教育の導入に向けた活動がさらに展開されることが期待されます。
*1 ファカルティ・ディベロップメント(FD):教員が授業内容・方法を改善し向上させるための組織的な取り組みの総称。
日本人専門家から領域別看護の概要紹介。
CONSBNとMNCからの経験共有。
大学ごとに教員配置案を検討。