対象県の知事と合同ワーキンググループ会議を実施しました
プロジェクトでは、ブータンの年度末となる6月頃に、毎年、各県知事との合同ワーキンググループ会議を開催しています。対象ゲオク(郡)の普及員による前年度の活動報告と、NCOA:国立有機農業センターのカウンターパート職員による各県におけるプロジェクト活動進捗と次年度の計画を共有し、知事との意見交換を行うことを目的としています。去る6月3日から5日にかけて、今年度の会議も実施しました。
6月3日(火)のハ県の会議では、まず普及員から活動報告が行われ、プロジェクトが実施する農家たちへの実践的な研修が効果的であること、リンゴ農家が市場のニーズに合わせて梨栽培を開始したこと、さらに、多品種の果樹やイチゴを栽培し、ハイキングに来る観光客向けの販売を計画し始めるなど、農家に積極的な変化が出始めていることが報告されました。知事はこのような高付加価値果物の生産や、王室プロジェクトの100万本苗木植樹プロジェクトとの連携、そして、プロジェクトが、リンゴ病虫害調査を計画していることに感謝の意を述べられました。
6月4日(水)のパロ県の会議では、パロはリンゴの産地であるものの、キウィやブドウなどの新たな果樹品種の生産への期待を知事が述べられました。国際空港が位置するパロ県には多くの観光客が訪れるため、ホテルや市場で農産物の多様化が必要であることや、同時に若者の就農機会の創出について意見が出ました。普及員の報告では、リンゴ樹の病気や授粉樹の伐採による収量の減少を、プロジェクトからの学びによって対応している農家の状況や、新たにキウィ栽培を計画する農家の報告もありました。
普及員にとって、知事に活動報告を行うことは貴重な機会であり、この会議を通して両者の直接的な質疑応答の場ともなりました。
6月5日(木)のティンプー県の会議では、生産者の栽培コスト計算を加味した価格設定でなければならないこと、余剰農産物をいかに加工品として販売するかを考えること、また農薬の使用については慎重に行い、輸出品の妨げにならないことなどが知事からの助言となりました。
いずれの会議でも、市場志向型の農業への転換について意見が述べられ、品質向上や品種の多様性が求められている各県の状況は、プロジェクトが目指す方向に合致していることが確認されました。
1. ハ県知事との会議の様子
2. パロ県知事との会議の様子
3. ティンプー県知事に活動報告を行う普及員
4. ティンプー県知事との会議の様子