家族健康手帳を活用した啓発活動の研修指導者養成研修を実施しました。
「パンジャブ州母子保健強化プロジェクト」では、2021年12月より2022年11月までの第1期で現状調査を実施し、調査の結果を踏まえ、ムルタン県、カネワル県、ベハリ県を活動対象として2022年12月から第2期の活動が開始されました。
妊産婦・新生児を取り巻く状況を改善する上で、コミュニティで住民の最も近くで基本的な保健サービスを提供するレディヘルスワーカー(LHW)の知識やスキルの向上は、喫緊の課題です。こうしたLHWの業務全般のスーパーバイザーとして、LHWを指導するレディヘルススーパーバイザー(LHS)が、LHW約25人に対し、1人の割合で配置されています。
プロジェクトでは、妊産婦・新生児のケアの基本的な内容を網羅した啓発資料である家族健康手帳(Family Health Book:FHB)を作成し、LHSや拠点施設が行うLHWに対する継続教育の資料として使用するとともに、LHWが住民に対して行う個別・集団教育の資料として活用することが期待されています。
こうしたLHWへの能力強化に先立ち、まずLHSを指導する立場にある各県のマネージャー層を対象に、研修指導者養成研修(Training of Trainers:TOT)を実施し、次に各県のマネージャー層がLHSへ研修を実施、そしてLHSが各受け持ちのLHWへ研修を行うという、カスケード方式によって効率的に知識やスキルの裾野を広げることが意図されています。
また、LHSはLHWの基本的な記録の確認や収集はできていますが、スーパービジョン技術については、大半のLHSは研修を受けたことがなく、LHSに対するスーパービジョン技術研修のニーズに対応する必要があります。
まずは2023年2月28日・3月1日に2日間の日程で、各県のマネージャー層がムルタンに集い、キックオフ・ミーティング、それに続きFHB及びスーパービジョン技術に関するTOTが行われました。この機会に合わせて業務主任者/母子保健及び業務調整/研修監理が現地に入りました。LHSの方々が、普段はなかなか顔を合わせる機会が少ない、州・県の保健関係者上層部に質問し、熱心に意見交換をしているのが印象的でした。
その後、TOTで研修を受けたマネージャー層がLHSを対象にしたLHS研修がムルタン県(3月10日)、ベハリ県(3月15日)、カネワル県(3月17日)で実施されました。今後はLHSによるLHWを対象とした家族健康手帳(FHB)の活用に関するLHW研修が、ラマダン明けの5月初旬から3県の各対象郡で実施される予定です。
今後もプロジェクトの様子や進捗をプロジェクトニュースなどを通じてお伝えします。
プロジェクト講師によるFHB講義
プロジェクト講師によるスーパービジョン講義
研修終了後、参加者に修了証が手渡されました