パンジャブ州全域を対象とした母子保健データ管理の強化

パキスタンのパンジャブ州では、カウンターパートである「統合型母子新生児保健リプロダクティブヘルス栄養プログラム（IRMNCH&Nプログラム）」のもと、以下のような人材によって、地域の母子保健医療サービスが提供されています。

こうした母子保健活動を支える人材に加え、もう一つの柱がデータのデジタル管理です。パンジャブ州は、「HMIS for Primary Health Facilities」（通称EMR：Electronic Medical Record）というシステムを導入し、地域の保健医療状況を可視化し、より効果的なサービス提供をめざしています。LHVやLHSが現場で収集したデータを入力し、州や県の保健局がそれを活用して課題の明確化とサービス強化に活用しています。
しかし、データ入力率が十分でなかったり、誤ったデータ（外れ値）が入力されるという課題が今までは指摘されていました。このような状況を改善するため、プロジェクトはシステムの利用方法を解説した利用者マニュアルの作成と研修の実施支援を行いました。

プロジェクトでは、カウンターパートと連携して、EMRの活用を促進し、データの質を向上させるため、利用者マニュアルを作成しました。このマニュアルは英語だけでなく、LHVやLHSが理解しやすいようウルドゥー語版も作成しました。また、ウルドゥー語による説明ビデオも作成し、インターネット上で公開を開始しました（※以下のリンク参照）。
これをもとに、2024年9月には、パンジャブ州全体の36県の県コーディネーターやフィールドプログラムオフィサー85名を対象に、指導者養成研修を実施しました。研修では、マニュアルの内容や、説明ビデオの利用法やアクセス方法について説明を行いました。研修後は、養成された指導者が州全域のそれぞれの県で伝達研修を行い、LHVやLHSに研修内容が共有されました。

プロジェクトはその後も、データ入力や活用の強化に向けた取り組みを続けています。2024年10月には、プロジェクト対象3県の全LHSにEMRや家族健康手帳に関する研修を拡大実施しました。これによりプロジェクトの直接対象郡のLHS60人に加え、さらに176人のLHSに研修することができました。12月には県コーディネーターやフィールドプログラムオフィサー向けにデータ分析やスーパービジョンに関する再研修を実施しました。また、四半期ごとにサービス提供実績やデータの状況を確認する郡レビュー会議の実施を支援しています。
今後も住民の健康を支える保健医療データの強化や人材強化への支援を通し、パンジャブ州の母子保健向上に向け、活動を行っていきます。

※利用者マニュアル英語版、ウルドゥー語版、説明ビデオの公開リンク
#1 User Manual (English Version) -Hospital Management Information System (HMIS) for Primary Health facilities
https://hisduapps.pshealthpunjab.gov.pk/Content/Manual/HMIS%20ENGLISH%20Manual.pdf

#2 User Manual (Urdu Version) -Hospital Management Information System (HMIS) for Primary Health facilities
https://hisduapps.pshealthpunjab.gov.pk/Content/Manual/HMIS%20URDU%20Manual.pdf

#3　説明ビデオ
https://hisduapps.pshealthpunjab.gov.pk/
https://pshealthpunjab.gov.pk/Home/HMISPrimary