パンジャブ州母子保健専門職のための本邦研修(2024年12月)
実施中の技術協力プロジェクトの活動の一環として、2024年12月10日から17日まで、プロジェクト対象地域3県の医師と行政官合わせて6名が日本を訪れ、日本の母子保健サービス向上の取り組みや技術指導の手法を学びました。
ベハリ県とカネワル県の県病院や郡病院から産婦人科医・小児科医4名とムルタン県とラホールから保健の行政官2名が参加し、日本の母子保健制度や歴史、新生児蘇生法や産後出血対応、職場内継続教育やキャリア開発の実際について学びました。研修は、途上国の現状に精通する大学・医療機関からの講師陣と愛育病院の協力を得て、知識と実践を統合した大変充実した内容となりました。
特に愛育病院では、病院見学に加え、以下について学びました。
- 1 . 模擬演習として新生児蘇生や産後出血対応の手技を確認し、現地の一次保健医療施設の状況・環境を考慮した演習と、患者の状態に合わせて設定を変え対応していく技法を経験。
- 2 . 高価なシミュレーターが無い場合でも、身近な物品を代用する教授法。
- 3 . 振り返りでは現場での課題や難しい症例についても議論を交わし、途上国の事情に詳しい講師陣からも助言を得ながら、帰国後の対応策を検討しました。
研修の最終日には、学んだ内容を基に研修生各自の行動計画を発表し、臨床と行政の連携の重要性や、公衆衛生看護学校(LHV養成校)との協働可能性が議論されました。これにより、地域の母子保健課題に対して、様々な解決策が見出され、実現に向けてそれぞれが協力していくことを確認しました。
パンジャブ州の一次・二次保健医療局は、24時間365日体制で熟練分娩介助者による出産を促進する取り組みを進めており、熟練分娩介助者の技術向上が急務です。今回の研修参加者には、帰国後も州を代表する指導者として熟練分娩介助者を支える中心的な役割が期待されています。
東京大学名誉教授 神馬先生との集合写真
日本の母子保健の歴史について学ぶ研修員
日本の周産期医療の実際に興味津々の研修員
新生児蘇生法の手技の確認
一次保健医療施設における蘇生対応を想定したシミュレーション
修了式後の集合写真