JICA本部・事務所の現場視察(2025年10月)
JICA本部およびペルー事務所の担当者が、10月26日から28日にかけてロレト州を訪問し、プロジェクト対象である湿地林の状況や活動を視察しました。当初はパイロット活動対象の村落を訪問する予定でしたが、原油利権をめぐる住民ストライキが発生し、移動手段である船の運航が停止したため、急遽、州都イキトスおよびその周辺に位置する湿地林や集落の訪問に切り替えました。ペルーの主要原油採掘地であるアマゾン地域では、このような住民ストライキが頻発しています。
初日は、イキトスの市場でアマゾン地域産品の販売状況を視察し、その後、ロレト州政府環境局の専門家の案内のもと、アグアヘ林(オオミテングヤシ)とそこに存在する泥炭地を訪問し、炭素貯留による気候変動緩和に向けた湿地保全の重要性を確認しました。二日目は、国家自然保護区庁(Servicio Nacional de Áreas Naturales Protegidas por el Estado:SERNANP)の案内で、アリパワヨ・ミシャナ保護区内にある集落を訪問しました。そこでは、アグアヘを伐採せずに果実を収穫できる手作りの昇降具や、違法伐採の通報や資源管理に役立つ携帯アプリなど、非木材林産物の持続的利用を目指すパイロット活動の成果の一部を視察しました。最終日は、ロレト州政府森林・野生動物局(GERFOR)を訪問し、非木材林産物の取引管理に関する法規や輸送・トレーサビリティの仕組みについて説明を受けました。その後、アグアヘ果実が集積する市場や加工を行う地元企業を訪問し、アグアヘ果実の流通・加工の特徴や課題などについて学びました。
上記のとおり、今回の訪問では、特にアグアヘに関して、取引の法制度、生産地、採取から流通・加工に至るサプライチェーン全体の状況、そしてアグアヘの主な生息地である湿地林の気候変動対策上の重要性を改めて確認することができました。
アグアヘ果実が集積する市場での販売業者へのインタビュー
ロレト州政府・森林・野生動物局の訪問
パイロット活動で開発したアグアヘ果実収穫のための手作り昇降具実演