成果3:アグアヘ(Mauritia flexuosa)植林技術の指導(2025年1月)
ロレト州パリナリ地区の集落を対象に実施中の「湿地林・非木材天然資源持続的利用のためのコミュニティ自然資源管理能力強化」の取組で、集落植林活動を開始しました。
対象集落では、アグアヘ果実を収穫する際、アグアヘの木も伐採するのが一般的でした。この結果、「アグアヘ湿地林の生産性の低下」や「集積所(住宅地付近)とアグアヘ湿地林との距離の拡大」などの問題を引き起こしました。対象集落のアグアヘ収穫者(生産者)は、この対策としてアグアヘ植林に関心を持っていますが、彼らの植林方法に関する知識や経験は限られています。このため、プロジェクトでは生産者への植林技術指導を行うことにしました。
プロジェクトチームはカウンターパートである国家森林野生生物庁(SERFOR)と共同で、①住民や研究組織等によるアグアヘ植林経験・教訓集と②住民向けアグアヘ植林ガイドを作成し、これらを活用して、2025年1月24日から26日にかけて、対象集落で植林技術指導ワークショップを行いました。植林への興味と植林技術の向上を目的に、ワークショップは理論と実践の2つのセッションで構成しました。理論セッションでは、植林の環境と経済面での便益について説明し、実践セッションでは、種子の選別、育苗袋への播種、自然再生苗の入手などを指導しました。今後は、移植、維持管理・モニタリング技術の指導を進めていきます。
アマゾン地域では多くの植林プロジェクトが行われていますが、その多くで、プロジェクトが終了すると植林も停止してしまいます。この理由として集落の当事者意識の欠如が挙げられます。この改善には、住民が植林活動をプロジェクトの労役や義務ではなく、自身の将来の利益を生む活動であることを理解することが重要です。このため、本プロジェクトでは、住民のニーズに基づき植林技術移転を開始し、参加者は希望者のみとし、住民がリーダーシップを発揮する形で進めていきます。
サン・ロケ集落への植林の重要性の説明
サン・ロケ集落で使用する再生苗
サン・ホセ・デ・パリナリ集落の住民が収集した樹木の種子