日本の知見を基盤としたコンゴ民主共和国の職業訓練強化
ー INPP関係者の本邦研修・視察報告 ー
コンゴ民主共和国では、紛争等の影響により難民や除隊兵士が発生し、若者の失業が問題になっています。世銀の若者失業率データによると、若年失業率は2024年時点で8.5%とされていますが、不完全雇用率は50%以上とも推定されています(Ministère du Plan
)。こうした状況は、若者の経済的ストレスや社会的疎外感を高め、社会の不安定化要因となる懸念が指摘されています(ILO, 2021)。そのため、経済発展のみならず、平和の定着という観点からも、職業訓練の強化は極めて重要です。
こうした背景のもと、日本はコンゴ民主共和国の国立職業訓練校(INPP)を長年支援してきました。現在、INPPが産業界のニーズに基づいた質の高い訓練を自律的かつ持続的に実施できるようになることを目標に掲げて、技術協力プロジェクト「国立職業訓練機構能力強化プロジェクトフェーズ2」を進めています。
同プロジェクトは最終段階にあり、INPPはこれまでの成果をどのように維持・拡大し、コンゴ民主共和国の産業界の発展に向けてどのような役割を果たしていくべきかを模索しています。今後の方向性のヒントを得るため、長年にわたる協力において参考としてきた日本の職業訓練制度の歴史や現状について理解を深めるとともに、同国では導入されていない技能検定などについて学ぶべく、チマンガ・ワ・モントワモ・ゴデフォア・スタニスラスINPP総裁、ルテテ・ムフ・ロンジャン技術局長をはじめとするINPP関係者8名が、2025年8月25日から29日にかけて来日しました。
一行は、厚生労働省、中央職業能力開発協会(JAVADA)、高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)、高度ポリテクセンター、職業能力開発総合大学校、ハローワーク木場などを視察・訪問しました。一連の研修・視察を通じて、これまで日本の支援でコンゴ民主共和国に導入されてきた制度や手法が日本においても今なおしっかりと運用されており、産業界のニーズに応えながら質の高い職業訓練の実現に大きく寄与していることが確認されました。これにより、INPP関係者は、これまで導入してきたアプローチの重要性を改めて認識するとともに、自分たちの取組みに対する自信を一層深めることができました。さらに、自国と日本の政策・制度・取組みを比較する中で、「日本では地域ごとの産業構造や人材市場の特性に応じて訓練が計画されていたことが非常に印象的であった。コンゴ民主共和国も地域ごとに鉱物等の天然資源など豊かな特色があるところ、地域性に応じたアプローチも取り入れたい」といった前向きな意見も述べられました。なお、視察の成果や所感は、来日できなかったINPP職員にも広く共有されました。
厚生労働省(会議中の様子)
高度ポリテクセンター(講義の様子)
職業能力開発総合大学校(施設見学)
ハローワーク木場(現場視察)