LDRベッド研修をウアンボ州・ウィラ州で実施 (2025年7月・8月)
出産をより安全に、そして人間らしいものにするための研修が、2025年7月29日ウアンボ州、8月1日ウィラ州で開催されました。
この研修では、今後導入されるLDRベッド(陣痛「Labor」・分娩「Delivery」・回復「Recovery」を同じベッドで行える分娩ベッド)の効果的な使い方と、それに基づくケアのあり方について、州・市の保健スーパーバイザーや分娩室の看護師などが学びました。講師は、本プロジェクトの「助産教育」の担当である日本赤十字看護大学の笹川 恵美氏です。笹川氏は長年、母子保健分野、とくに人間的なお産と助産師教育の向上に取り組んでいる専門家であり、国内外での豊富な指導経験をもとに、最新の知見と実践的な技術を参加者に伝えました。そのわかりやすく、かつ現場に直結する指導は、参加者からとても好評価でした。
◆ LDRベッドとは?
LDRベッドは、出産の各段階を同じ場所で過ごせる特殊なベッドです。妊婦が自由に姿勢を選べたり、付添いの人がそばにいられたりと、「尊厳あるお産」の実現に向けた重要なツールです。
◆ 研修で学んだこと
研修では、世界保健機関(WHO)の最新のガイドラインに基づき、母子の安全を守るために必要な知識や、心に寄り添うケアのあり方が紹介されました。たとえば、産婦が自由な姿勢で出産に臨めることや、出産直後に赤ちゃんと肌を触れ合わせる「早期母子接触」の大切さ。さらには、付添いの人がそばにいるだけで、女性の安心感が大きく変わることなどが、科学的な根拠とともに伝えられました。
研修の中では、LDRベッドの角度を調整して、分娩中の姿勢を自由に変えられることや、産後の観察のポイント、新生児への初期ケア、そして母乳育児をスムーズに始めるためのコツまで、幅広い内容が実践を交えて学ばれました。参加者たちは、LDRベッドを単なる医療機器としてではなく、出産する女性にとって「より安心で、より尊厳のあるお産を実現するための道具」として捉えるようになりました。
また、実際にバランスボールやピーナッツ型ボール、ヨガマットなども使用され、出産時の姿勢やリラックス法について体験的に学ぶ時間が設けられました。これらの道具を使うことで、腰の痛みを和らげたり、骨盤の動きを助けたりと、薬を使わなくても母体をサポートする工夫ができることに、多くの参加者が驚きと関心を示していました。
さらに、母乳育児の講義では、新生児の吸着(ラッチオン、おっぱいの含ませ方)を理解するために風船を使った実習も行われました。口の開き方や吸い付き方を視覚的に学べるこの練習は、「今まで感覚的だったことが、はっきりとイメージできた」と好評でした。
参加者からは、「これまでも大切だと思っていたことが、根拠をもって説明されてとても納得できました。出産に立ち会う私たちの姿勢が、女性の体験を大きく左右することを改めて感じました」や、「自分の施設がモデルとして選ばれた以上、地域の他の施設にもこの考え方を広めていきたい」という力強い声もありました。
この研修は、医療従事者にとってのスキルアップだけでなく、出産を取り巻く環境そのものを変えていく大きな一歩です。赤ちゃんが生まれてくる瞬間が、女性にとっても、家族にとっても、あたたかく幸せなものとなるように、そのような願いが確かに広がっていきました。
バランスボールやヨガマットを使った実習
出産時の痛みを和らげるリラックス法を学ぶ様子
風船を使って赤ちゃんのおっぱいの含ませ方を知る実習