第4回合同調整委員会(JCC)を開催しました (2025年11月)
2025年11月21日、ルアンダ州で第4回合同調整委員会(JCC)が開催されました。保健省副大臣、日本大使館、州保健局、国際機関、そして各市の母子保健スーパーバイザーなど、65名の関係者が参加し、母子保健改善に向けた本プロジェクトの進捗を共有しました。
♦ 母と赤ちゃんにやさしい出産環境づくりの進展
会議では、妊産婦に寄り添ったケアが各地で広がり、分娩室や陣痛室でのプライバシー確保が着実に進んでいることが報告されました。カーテンやパーテーションの導入により、安心して出産に臨める環境が整いつつあります。また、分娩時の付添い者を受け入れる施設が増え、家族がそばで支えるお産が少しずつ広がっています。地域では、フリップチャートを使った健康教育も始まり、必要な情報が住民によりわかりやすく届けられるようになっています。
♦ 見えてきた課題と今後の取り組み
一方で、供与機材の故障、産後ケアの不足、母子健康手帳の記入漏れ、利用者増による待ち時間の長時間化といった課題も共有されました。また、プロジェクトの研修を受けた職員の異動により良い実践を継続することが難しい点や、遠隔地の妊婦が受診しづらい状況も依然として大きな課題となっています。
♦ コミュニティ産婆の存在と若年層を取り巻く課題
ディスカッションでは、地域で長く活動するコミュニティ産婆が妊婦から深い信頼を寄せられていることが紹介され、その経験を尊重した協働の重要性が改めて確認されました。また、若年妊娠、性的暴力、児童婚の増加が深刻な社会問題として共有され、保健分野だけでなく教育、司法、社会保護を含む多分野と連携した対策の必要性が指摘されました。
♦ 母子健康手帳の贈呈
JCCでは、アンゴラ保健省がJICAおよび民間企業との連携により制作した「母子健康手帳(通常版)」および「点字版母子健康手帳」の贈呈式が行われました。通常版は合計193,000部、点字版は2,500部が印刷され、すべての妊産婦が必要な情報にアクセスできる環境づくりを進める大きな一歩となりました。
特に、CFAO Mobility Angola, S.A.社の支援により、通常版33,000部、点字版2,500部の印刷が実現しました。これは、法律第10/16号(アクセシビリティ法)に基づき、視覚障害を持つ女性にも情報保障を広げてきたアンゴラ保健省の取り組みを後押しするものです。式典では、両版の母子健康手帳が登壇者によって掲げられ、母子保健の向上とアクセシビリティ強化への強い意志が示されました。この取り組みは保健省公式Facebookでも大きく報じられ、どのような状況にある女性も必要な情報にアクセスできる社会への前進を象徴するものとなりました。
♦ 今後の方向性
今回のJCCを通して、母子保健における前向きな変化と今後取り組むべき課題を関係者全体で確認することができました。国家公衆衛生局からは、「本プロジェクトの成果は国家政策に反映できる質を備えている」との評価が示され、各州での成功事例や改善データを整理し、公式文書としてまとめることで、プロジェクト対象外の他州への展開やパートナー拡大につなげていく方針が共有されました。
次回の会合に向けて、スーパービジョンの継続、データ整理、行政への働きかけ、そしてコミュニティ啓発の強化など、取り組むべき重点項目も確認され、会議は締めくくられました。
点字版母子健康手帳の贈呈式
国家公衆衛生局プライマリヘルスケア部部長(プロジェクトマネージャー)によるプロジェクトの進捗報告
参加者集合写真