ウアンボ州・ウィラ州の保健医療施設で壁画アートを実施~色彩が生み出す、安心と笑顔~(2026年3月)
ウアンボ州クイマ保健センターおよびウィラ州カクラ市病院において、日本のアーティスト、河野ルルさんによる壁画アートが実施されました。本活動は、PROSMATEの対象保健医療施設において、妊産婦や子どもたちがより安心して過ごせる環境づくりを目的に行われたものです。
これまでの保健医療施設は、無機質で緊張感のある空間になりがちでした。しかし近年、「ホスピタルアート」と呼ばれる取り組みが世界的に注目されており、壁画やアートが患者さんの不安を和らげ、安心感や回復意欲を高める効果があることが報告されています。
◆ アートがもたらす変化
今回描かれた壁画には、自然や動物、やさしい色合いのモチーフが取り入れられ、施設を訪れる妊婦さんや子どもたち、家族にとって、温かく親しみやすい空間が生まれました。
クイマ保健センターでは、妊婦さんや子どもたちと自然をテーマに、鳥や花、やわらかな色彩が描かれました。命の誕生や成長を象徴するモチーフを通じて、「安心」「やさしさ」「あたたかさ」を感じられる空間が表現されています。
クイマ保健センター待合室(壁画実施前)
クイマ保健センター待合室(壁画実施後)
壁画アーティストの河野ルルさん
インターンの学生も壁画アートに参加
クイマ保健センター分娩室(壁画実施前)
クイマ保健センター分娩室(壁画実施後)
お母さんと、これから生まれてくる命へのやさしいまなざし
カクラ市病院では、ウィラ州の文化を象徴するムムイラ族をモチーフに、地域の暮らしやアイデンティティが表現されました。地域文化を尊重し、施設が「自分たちの場所」であると感じられるような、親しみのある空間づくりが意識されています。
カクラ市病院待合室(壁画実施前)
カクラ市病院待合室(壁画実施後)①ムムイラ族が中心に描かれている
カクラ市病院待合室(壁画実施後)②
壁画作成に励む河野ルルさん
診察に来ていた妊婦さんも参加
子どもたちも参加
壁画によって、施設の雰囲気は大きく変わりました。
訪れる妊婦さんや家族にとっては、不安をやわらげる空間となり、保健医療従事者にとっても、より誇りを持って働ける環境につながっています。
出産や診療に不安を感じていた女性や家族が、少しでもリラックスできること、そして保健医療従事者にとっても、誇りを持って働ける環境となることが期待されています。
◆ アートと健康を両立する新たな取り組み
今回の壁画には、関西ペイント株式会社より提供いただいた「アンチモスキート(防蚊)塗料」が使用されています。
この塗料は、蚊が室内に侵入した後に壁や天井にとまる習性を利用し、蚊が嫌う成分が神経系に影響を与え(不快に感じ)、壁面に寄り付きにくく、また居室にとどまりにくくなり、更に壁への接触により致死させる殺虫効果もあり、結果的に吸血されない効果が期待されています。
これにより、マラリアなどの蚊媒介感染症の予防にもつながることが期待されており、今回の壁画は「安心できる空間づくり」と「健康リスクの低減」を同時に実現する取り組みとなっています。
◆ PROSMATEの取り組みとのつながり
PROSMATEでは、これまで「妊産婦に寄り添ったケア(ヒューマニゼーション)」を推進してきました。今回の壁画アートは、その取り組みを「目に見える形」で体現する重要な一歩となりました。
例えば、
- 安心して出産できる環境づくり
- 付添い者とともに過ごせる温かい空間
- 付添い者とともに過ごせる温かい空間
といった考え方を、空間そのものから伝えることができます。
医療の質の向上は、技術や知識だけでなく、「環境」も大きく関わっていることを改めて示す取り組みとなりました。
◆ 現場からの声
保健医療従事者からは、
「施設の雰囲気が明るくなり、患者さんとのコミュニケーションも取りやすくなった」
「来院する妊婦さんが笑顔になることが増えた」
といった声が聞かれています。
また、あるスタッフは、
「この場所で働くことが、より誇らしく感じられるようになった」
と語っており、アートが保健医療従事者のモチベーション向上にもつながっていることがうかがえます。
◆ これからへの期待
壁画アートは一度描いて終わりではなく、そこから生まれる変化が重要です。今回の取り組みをきっかけに、施設が地域にとってより親しみやすい場所となり、妊婦さんや家族が安心して保健サービスを利用できる環境づくりがさらに進むことが期待されます。
PROSMATEでは、今後も、技術面の強化に加え、人の心に寄り添う環境づくりを通じて、より安全で、より尊厳ある母子保健サービスの実現を目指していきます。
クイマ保健センターでの集合写真
カクラ市病院での集合写真