カウンターパートが東京都・沖縄県での研修に参加(2024年4月)
2024年4月14日から4月25日の12日間にわたり、プロジェクトのカウンターパートが来日して、東京と沖縄で研修を実施しました。本研修は、日本の保健システムや妊産婦ケア向上のための取り組みを学び、アンゴラの母子保健政策やプロジェクトの方針策定に反映させることを目的として実施しました。アンゴラからはプロジェクトマネージャーである保健省国家公衆衛生局プライマリヘルスケア部部長、プロジェクト対象州であるウィラ州およびウアンボ州の州保健局局長の合計3名が参加しました。
研修での学び
帝京大学医学部では、日本の保健システムや母子保健の世界的な動向を学びました。その後、帝京大学附属病院周産期母子医療センターを視察させていただき、LDR1分娩室や新生児ケアユニットを見学し、アンゴラでのLDRベッドの導入可能性や妊産婦・新生児ケアの質向上について、協議を行いました。
また、日本赤十字看護大学を訪問し、エビデンスに基づいた分娩期ケアや、日本の看護助産教育に関する知見を深めました。同大学では、国際保健助産学専攻大学院生9名との交流会を実施し、母子保健政策や母性ケアについて活発な意見を交わすことができました。
そして、妊産婦へ安心安全な医療サービスを提供するためには院内感染対策や医療安全対策についての理解が不可欠です。沖縄県の社会医療法人友愛会 友愛医療センターでは院内感染対策や医療安全対策の基本的な考え方や具体的な施策を学びました。また、日本で活躍されている助産師さんたちによる「出産満足度を向上させるための取り組み」について、ロールプレイを交えながら講義が行われました。
政策への反映と今後の展望
研修の最後には、琉球大学の小林潤教授より学びを政策立案へ繋げる戦略を学びました。その後、今後アンゴラで実施するアクションプランを策定し、発表しました。
カウンターパートたちは「現地のリソースに限りがあっても、シンプルなことからでも妊産婦ケアは改善できる。保健医療の現場に人間的なお産を取り入れることで女性や妊産婦のケアに関する満足度を向上させることができる」という強い意気込みを表していました。そして、アンゴラへの帰国後は、自身が学んだ知識や経験を現場の保健医療従事者に熱心に語り、情熱を持って妊産婦ケアを向上させるための意識変容を促しています。沖縄での研修の成果が、プロジェクトの研修成果にも結びついています。今後は、この意識変容が行動変容へステップアップされ、妊産婦ケアの質が改善していくことが期待されます。
1 LDRは、Labor(陣痛)・Delivery(分娩)・Recovery(回復)の頭文字である。陣痛室・分娩室・回復室が一体となったシステムであり産婦は、陣痛から産後まで移動することなく同じ部屋で過ごすことができる。
JICA本部の表敬
日本赤十字看護大学にて看護助産教育実習視察
人間的なお産のロールプレイ
アクションプラン発表会の様子