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子どもの急性栄養不良対策強化によりキリバスにおける健康危機に備える

5月21・22日の2日間にわたり、キリバス共和国にてコンサルテーション会議を開催しました。本会議には、キリバス保健医療サービス省、教育省、国家災害管理庁、および開発パートナーなどの主要な関係者が一堂に会しました。公衆衛生上の緊急事態時において、子どもたちのための必須保健サービスを維持するためのガイドライン案のレビューを行うとともに、マルチセクターの参加者からの意見集約や合意形成を経て、同ガイドラインの最終化に向けた活発な議論が交わされました。

頻発する健康危機と急性栄養不良の課題

キリバスでは、豪雨や高波、劣悪な衛生環境、密集生活などが重なり、水源となる井戸は汚染され、下痢などの感染症アウトブレイクがしばしば発生しています。近年は異常気象による豪雨の頻発に伴い、水系感染症の発生が以前よりも増加しており、特に2023年以降は下痢症疾患の症例数・死者数が急増しています。例えば、頻発するロタウイルスのアウトブレイクは、子どもたちに深刻な下痢症を引き起こし、最も致死性の高い栄養不良の形態である重度の急性栄養不良をもたらす要因となっています。
キリバス政府はこのような感染症アウトブレイクを優先度の高い健康危機と捉えており、重度の急性栄養不良対策強化は、健康危機時の対策の一環として位置付けられています。ところが、クリニックレベルでの対策ガイドラインも存在せず、適切な初期対応が行えていませんでした。その結果、唯一の基幹病院であるツンガル病院の小児病棟は重症の子どもたちで溢れかえり、医療体制の逼迫が課題となっていました。

医療従事者への研修とクリニックレベルでのケアの確立

このような状況を踏まえ、本プロジェクトでは健康危機時における重度の急性栄養不良対策を強化するため、UNICEFとの緊密な連携のもと、クリニックレベルでの一連の体制構築(急性栄養不良管理パッケージ)を推進してきました。コロナ禍に他国で実践された簡易アプローチを、平時からの急性栄養不良管理に採用し、具体的には、以下の3つの柱を中心に介入を行っています。

  • ガイドラインの策定:健康危機時のプロトコールを含む「急性栄養不良管理ガイドライン」と各種ツールの作成
  • 体制の標準化:診断、リファラル、治療、フォローアップの標準化と、関連する医療情報報告体制の確立
  • 供給網の確立:クリニックレベルで栄養治療食にいつでもアクセスできる供給体制の確立

このパッケージをもとに、プロジェクトが南タラワの全クリニックの医療従事者を対象に研修を実施した結果、これまでは病院でしか対応できなかった合併症のない重度の急性栄養不良の子どもたちが、地域のクリニックで栄養治療食による治療を直接受けられるようになりました。
これにより、搬送先であるツンガル病院への入院数が減少し、院内での二次感染リスクの低下にもつながるという成果をあげています。キリバスUNICEF事務所の栄養担当官からも、「JICAプロジェクトの支援が加わり、キリバスの急性栄養不良対策は動き出した」と、その活動を高く評価する声が寄せられています。

離島へのロールアウト

南タラワにおける確かな成果を踏まえ、次なるステップとしてキリバス全土へのさらなるアプローチが進められています。現在、ロタウイルスの感染拡大に伴い離島からツンガル病院へ搬送される重症児が増加するという新たな局面を迎えていますが、キリバス保健医療サービス省はすでに迅速な動きを見せています。南タラワでの取り組みをモデルケースとして、UNICEFからの支援を受け、離島へのロールアウトがすでに開始されています。
今回の会議で合意された提言をもとに、本プロジェクトは今後も保健医療サービス省や開発パートナーとの連携をさらに強め、この対策パッケージを確実に拡充・定着させていきます。

コンサルテーション会議の様子

会議参加者の集合写真