キックオフ会議を6月7日に開催
2022年6月7日にケニア中央医学研究所能力強化プロジェクトのキックオフ会議が開催されました。本プロジェクトは、カウンターパート(C/P)であるケニア中央医学研究所(Kenya Medical Research Institute:KEMRI)の研究能力強化を目的として、KEMRIのオーナーシップと持続可能性を重視しながら、ケニア国内および東アフリカ域内における感染症対策を推進していくことを目指しています。こうした取り組みにより、健康機器への準備対応能力が強化され、Kenya Vision2030における保健分野の目標である、Universal Health Coverage(UHC)への裨益が期待されます。本技術協力プロジェクトは3年のプロジェクトであり、JICAからは3名の長期専門家(チーフ・感染症・業務調整)が派遣されています。
KEMRI側&JICA側参加者による記念撮影
背景
KEMRIは1979年に設立された、保健医療分野の研究を責務とする国家研究機関であり、ケニア国内外の感染症対策・健康危機準備対応において重要な役割を果たしています。我が国は1979年当時から感染症対策(肝炎、下痢症、HIV/AIDS、急性呼吸器感染症等)研究能力向上のための協力を行ってきました。今般の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な流行に際しても、KEMRIはケニア国内の総検査数の半数以上に相当する約68万検体(2021年3月時点)の検査を実施、また流行初期のソマリアにおける疑い例検体の検査実施及び技術支援、さらに、アフリカ疾病予防管理センター(Africa Centers for Disease Control and Prevention:Africa CDC)から、アフリカ域内で使用する検査キットの性能試験を委託されるなど、国内のみならずアフリカ域内においてもCOVID-19対策に取り組んでいます。
目的・方法
ケニア国内およびアフリカ域内のしんこ振興・再興感染症含む感染症に対応していくためには、現在KEMRIが担う平時の感染症研究に加えて緊急時の健康危機管理対応のキャパシティを強化していくことが喫緊の課題です。これらの課題に対応するために、戦略的な人員配置や予算配分といった適正なガバナンスを基礎として、KEMRI内における研究部門・事務部門を対象として、効果的な人材育成システムや適正な人材評価システムといった人的資源へのキャパシティ・ビルディングを実施します。
キックオフ会議
プロジェクトのキックオフ会議では、KEMRIの所長をはじめとする関係者が一堂に集い、研修プログラムの意見交換や、バーチャルラボのしくみを用いて、オンラインで利用可能な研修教材を保存できるリポジトリシステムの確立と、その教材の評価と改善を継続的に行うことの重要性、さらに、研究能力向上自体の評価指標設定の重要性について議論がなされました。C/Pのプロジェクト・マネージャーからは、倫理的問題や人材開発など研究にかかるすべての事項について、KEMRIの研究部門・事務部門に対して持続可能で全体論的なトレーニングの必要性が強調されました。今後、上記の意見交換を踏まえ、具体的な活動を決定、実施し実施し、プロジェクトの進捗管理及び成果の達成に向けたモニタリングをKEMRIとともに行います。
キックオフ会議の様子