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顧みられない熱帯病(NTDs)制圧への挑戦:世界の潮流とパプアニューギニアの現場から(世界NTDの日)

「World NTD Day 2026」と国際社会が直面する課題

毎年1月30日は、世界保健機関(以下、「WHO」)が定める「世界NTDの日(World NTD Day)」 です。顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Diseases、以下「NTDs」)とは、主に熱帯・亜熱帯地域で流行し、貧困や医療アクセスの制約と深く関係する感染症群のことです。WHOによると、現在、 世界で約14億人がNTDsの影響を受けている とされています。

一方で、NTDsの多くは 予防や治療が可能 であり、 適切な対策を講じることで制圧が可能な疾患 です。WHOによれば、2010年以降、世界的に対策が進展し、 NTDs対策を必要とする人口は約36%減少 しています。さらに、2026年初頭までに 58か国が少なくとも1つのNTDの制圧を達成する見込み であるなど、着実な成果が積み重ねられていると報告されています。

近年、国際保健分野における政府開発援助(ODA)の縮小、とりわけ NTDs対策予算の削減により、これまでの成果が停滞・後退するリスクも指摘されています。 こうした状況を踏まえ、WHOは「World NTD Day」にあたり、各国主導による 持続可能な対策の推進や、革新的な資金調達、強固なパートナーシップの構築を呼び掛け ています。

2026年のテーマは昨年に続き、 「Unite. Act. Eliminate.(団結し、行動し、制圧しよう)」 です。関係者が連携して行動し、NTDsの制圧と保健システムの強化を目指す姿勢が示されています。

パプアニューギニアにおけるNTDs対策の進展

2025年におけるパプアニューギニアの主なNTDs対策活動

パプアニューギニア(PNG)でも、NTDs対策は着実に前進しています。2025年にはNTDs国家戦略計画が策定・公表され、NTDsの一つであるトラコーマの制圧がWHOにより初めて承認されました。

本プロジェクトとの関係では、主な活動として以下の活動を支援しました。

  • 西ニューブリテン州におけるリンパ系フィラリア症(LF)に対する集団投薬(MDA)第2回の完了
  • ニューアイルランド州および東ニューブリテン州でのMDA後評価調査および追加投薬の実施

また、皮膚関連NTDsへの対応として、複数の州で医療従事者向けの研修や診断キット・治療薬の提供を行い、外部機関の支援を受けながらPNG保健省主導の体制強化が進められています。

世界NTDの日に関連した主な取り組み

本プロジェクトは、PNG保健省やWHO等と連携し、今年の「世界NTDの日」に合わせて以下の活動を実施しました。具体的には、 NTDsの認知度向上を目的 として、広報資材(掲示ポスター、パンフレット)の作成や本行事用キャンペーンポロシャツのデザインおよび一部調達の支援を行うとともに、ラジオ放送局での情報発信や地域における啓発活動への参加を通じてNTDs対策を支援しました。また、PNG保健省が各ラジオ放送局との調整を行うとともに、首都行政区(National Capital District: NCD)州保健局(PHA)やNGO団体であるThe Leprosy Mission(TLM)等と積極的に連携し、啓発活動の実施を進めました。地域コミュニティでの啓発活動の中では、風土病性トレポネーマ症(Yaws)の症例がいくつか確認され、PHAがその場で治療薬のアジスロマイシン(Azithromycin)を提供する場面も見られました。

  • 地元ラジオ局3社によるNTDs啓発生放送(1月26日~28日)
    (NBC Radio Port Moresby, Radio Maria, Wantok Radio Light)
  • ポートモレスビー市内の地域コミュニティでの野外啓発活動(※1月27日~29日)
    (9 Mile roadside market and surrounding community on 29 January)
    ※一部の活動は治安状況や天候により中止。
  • PNG保健省での記念式典の開催(1月30日)

また、上記の啓発活動を通じて、住民から以下のような声が寄せられ、関係者によって適切な説明および対応が行われました。以下はその一例です。 多くの住民からは、皮膚疾患の種類や症状について十分に認識していなかったこと、そして正しい診療を受けたいとの前向きな発言が聞かれました。

・女性住民A
「これまで周囲の子どもたちに見られる症状がYawsの可能性があることを知りませんでした。掲示ポスターを見て初めてその病気について理解しました。今後は医療機関を受診し、適切な診療や治療を受けたいと思います。」
・男性住民B
「私は陰嚢浮腫の可能性がありますが、これまで恥ずかしくて家族や友人にも相談できずにいました。ポスターに掲載されているリンパ系フィラリア症の症状が自分と似ていると感じ、診断を受けた上で治療したいと思いました。」
・男性住民C
「これほど多くの種類の皮膚疾患があるとは知りませんでした。今回見聞きした内容は家族や友人にも伝えたいと思います。また、自身にも似た症状があるため、これを機に地元のクリニックや病院を受診し、適切な治療を受けたいと考えています。」

一般的に、PNGの人々における皮膚疾患に関する認識は十分とは言えず、 診断や治療を受けないまま放置されるケースが多く見られます。 治療が可能であるという認識も必ずしも高くなく、症状があっても医療機関までの移動の負担や我慢を優先する傾向があり、 結果として未受診のままとなることが少なくありません。

本啓発活動を通じて、短時間ではありましたが住民の皮膚疾患に対する理解が深まり、早期受診および適切な治療につながる行動変容の兆しが確認されました。また、これまでスティグマや知識不足により受診をためらっていた住民が、 診断や治療に前向きな姿勢を示したことは、地域におけるNTDs対策の推進に資する重要な成果 と考えられます。

NBCラジオ局(ポートモレスビー)の朝の番組に出演。

Wantokラジオ局のトーク番組に出演し、NTDsについて解説。

9 Mile市場路上および周辺地域で、住民向けに皮膚疾患やNTDsの知識を啓発。

ポスターを使って住民に各疾患について説明する様子。

保健省職員がパンフレットを使って各皮膚疾患について説明する様子。

本プロジェクトで作成・配布したNTDsに関するパンフレット。

啓発活動の中に住民から風土病性トレポネーマ症(Yaws)の症例が複数確認されました。

PHA関係者が治療薬のアジスロマイシンを処方する様子。

記念式典の開催と今後に向けて

今回の記念式典には、保健省関係者や外部パートナーなど約100名が参加 しました。式典では、保健省、WHO、JICA、TLMの代表者から、PNGにおけるNTDs対策のこれまでの成果が共有されるとともに、関係機関が連携して取り組んできたことへの評価と感謝が述べられました。こうした 成果の積み重ねを通じて、PNG全体におけるNTDsへの認知と理解も着実に高まりつつ あります。

今後は、より一層、 保健省を中心とした関係団体が団結し、継続的な取り組みを通じて、地域に根ざしたプライマリーヘルスケアの枠組み の中で、 予防から早期発見、治療、フォローアップまでを一体的に進めていくことが期待 されます。今回準備した広報関連物は、保健省が調整して順次対象の州保健局に送付され、関連行事の開催や啓発活動が期待されます。本プロジェクトも引き続き、国内外のパートナーと連携し、限られた資金・リソースを有効に活用しながら、PNGにおけるNTDs対策と保健システム全体の強化に貢献していきます。

「世界NTDの日」にあわせ、JICA PNG事務所からもエールを送りました。

ポートモレスビー総合病院・皮膚科チームもNTDカラーのポロシャツに身を包みました。

記念式典でJICA PNG事務所代表によるスピーチ。

式典会場は、NTDsのシンボルカラーである紫とオレンジで装飾されました。

出席者全員での集合写真。

※広報物ファイル(本プロジェクト成果品)

※関係リンク:World Neglected Tropical Diseases Day 2026

World Neglected Tropical Diseases Day 2026_World Health Organization (WHO)(外部サイト)
・本活動については、JICA PNG事務所のホームページでも掲載(リンク参照)しています。
「顧みられない熱帯病(NTDs)制圧への挑戦:世界の潮流とパプアニューギニアの現場から(世界NTDの日)(2026年2月12日付)」日本語版 英語版