第2回国際看護シンポジウムを開催しました
「モンゴル日本病院における病院運営及び医療人材教育機能強化プロジェクト」では、モンゴル日本病院(以下、日モ病院)における医学・看護教育、研修体制の充実、医療サービスの質向上、さらには国際共同研究の推進に取り組んでいます。その一環として、2025年10月29日・30日の2日間にわたり、第2回国際看護シンポジウムが開催されました。保健省、国立医科大学、ウランバートル市および地方の国立病院・総合病院・保健センター、看護協会、看護専門委員会など、全国38施設から2日間のべ約150名が参加し、看護分野における国内最大規模の学びと交流の場となりました。
日モ病院では、クリニカルラダーの整備・運用、新人看護職員研修、現任教育の体系化、「人」を中心とした医療サービスの強化など、多面的な看護の質向上が進められています。本シンポジウムは、これらの取り組みの成果と課題を共有し、全国的な看護力の底上げに資する重要な機会となりました。昨年の第1回シンポジウムは、看護管理や教育管理に焦点を当てた内容で大きな反響を呼びましたが、今年はその流れをさらに発展させ、より現場で活かしやすい実践的なテーマが取り上げられました。
初日(10月29日) では、「看護教育と臨床実践をつなぐ取り組み」をテーマに、モンゴルおよび日本(愛媛大学)の専門家が、看護人材育成やクリニカルラダーの実践に関する講演を行いました。日モ病院における新人研修の工夫やスキルスラボの活用事例も共有され、参加者は自施設の導入・改善に向けて活発に意見交換しました。午後のワークショップでは、クリニカルラダーの「準備・導入」「レベル評価」「実践と活用」の3段階それぞれにおける日モ病院の取り組みを踏まえ、各施設でどのように制度を整え、より良く活用していくかにについて議論が深まりました。
2日目(10月30日)では、「『人』中心・ケアリングに基づく質の高い医療サービス」を主題に、モンゴル保健省および徳島大学の専門家らによる講義が行われました。モンゴル国内における医療サービスの現状分析、日モ病院の実践紹介に続き、午後には「自施設で人中心ケアを実践するための現任教育」をテーマとしたグループディスカッションが実施されました。参加者は、自施設の強みや課題、改善に向けた具体的な取り組み案を持ち寄り、互いに学び合いながら実践につながる視点を共有しました。
2日間を通じて、全国各地の看護管理者・看護職員が一堂に会し、教育・研修、看護実践、医療サービス向上に関わる知見を共有できたことは、モンゴルの看護の未来にとって大変意義深いものとなりました。今回の議論と学びが、地域医療の質向上、そして「人を中心に据えた看護」の実践の広がりにつながることを期待しています。
今後もJICAおよび日モ病院は、モンゴルの看護の発展に向け、現場の皆様のニーズに寄り添った協力を続けてまいります。
Saranchuluun国会議員(人材開発・社会政策常任委員会)からの開会挨拶
モンゴル国立医科大学Damdindorj学長からの開会宣言
Demberel保健省⼤⾂顧問からの開会挨拶
JICAモンゴル事務所宮城所長からの開会挨拶
シンポジウムの様子(医学部ホールにおけるレクチャーセッション)
日モ病院でのワークショップの様子
日モ病院でのワークショップの様子
集合写真