第3回本邦研修(教育・研究・診療の運営)を実施しました
「モンゴル日本病院における病院運営及び医療人材教育機能強化プロジェクト」では、モンゴル日本病院(日モ病院)およびモンゴル国立医科大学(医科大学)における教育・研究・診療機能の強化を目的として実施されており、その主要な活動の一つとして本邦研修を定期的に実施しています。今回の第3回本邦)研修は、2025年11月16日から29日までの14日間にわたり実施されました。研修には日モ病院および医科大学の幹部・医師らの計8名が参加し、徳島大学、徳島県立中央病院、鳴門病院を主な研修先として、日本の大学病院・地域中核病院における運営実践を学びました。
本研修のテーマは「教育・研究・診療の運営」であり、日本の医療人材育成システム、とりわけ大学病院を中心とした医局制度、卒前・卒後・専門研修の連続性、臨床研究の管理体制、多職種連携による診療体制などについて、講義・視察・意見交換を通じて理解を深めました。開会にあたり、徳島大学からは、JICAプロジェクトを通じた長年の協力関係や、SATREPS¹による共同研究の進展、ならびに日モ病院と大学・地域病院との連携強化への期待が述べられました。
研修前半では、日本における医師の教育研修制度の全体像や、大学病院と関連病院が一体となった研修・人事運営の仕組みについて学びました。医局制度を軸とした人材配置やキャリア形成、給与・財源管理、大学院教育と臨床研修との関係などについて活発な質疑が行われ、モンゴルにおける制度構築への示唆が多く得られました。また、スキルスラボを活用したシミュレーション教育や、初期・専門研修における評価・指導体制、研修運営を支える事務・調整体制などのバックヤード機能についても具体的な説明がありました。
研修後半では、循環器内科・呼吸器内科・産婦人科など各医局別の研修を通じて、専門研修プログラムの構造、臨床研究のマネジメント、多職種連携による高度医療の実際を見学しました。心臓カテーテル治療やアブレーション、呼吸器疾患に関する最新の薬物療法、ならびに共同研究に向けた意見交換など、日モ病院での今後の診療・研究に直結する実践的な学びが得られました。特に、臨床研究における倫理審査体制やデータ管理の重要性、研究を支える専門人材の役割については、参加者の関心が高く寄せられました。
研修終盤には、研修員によるアクションプラン発表会が行われ、①研修および人材育成、②研究・データ管理、③デジタル技術の活用、④組織体制・規則整備、⑤サービス改善の5つを柱とした病院全体の改善案が提示されました。あわせて、各診療科における研修制度刷新、指導医育成、スキルスラボ活用、共同研究推進など、具体的な実施方針が共有されました。日本人専門家からは、教育・研究・診療を一体として運営することの重要性や、医局制度を通じた継続的な人材育成の意義について総括が行われました。
本邦研修を通じて、日本の大学病院・地域医療の実践から多くの知見が共有され、日モ病院およびモンゴルの医療制度発展に向けた具体的な方向性が明確になりました。今後、本プロジェクト(JICA)および関係機関は、本研修成果を現地での制度設計や人材育成に着実に反映させ、日モ病院が教育・研究・診療の中核を担う拠点としてさらに発展するよう、引き続き協力を継続してまいります。
[1] SATREPS(Science and Technology Research Partnership for Sustainable Development:地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム)は、JICAと国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)及び国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が連携して実施する国際共同研究プログラム。
集合写真(研修員及びプロジェクトチーム)
赤池総括からの講義の様子
VRを用いた研修の様子
徳島大学橋本医学部長との協議の様子
院西良病院長との集合写真
医療教育開発センターでの講義後の
集合写真
徳島大学循環器内科見学の様子
呼吸器内科医局での講義の様子
集合写真(徳島県立中央病院)
集合写真(鳴門病院)
アクションプランの発表の様子
修了証授与式の様子