JICA-ITUブータン向けサイバーセキュリティ能力向上研修inバンコク
本技術協力プロジェクトの下、サイバーセキュリティ能力強化の一環でITUと協働し、政府高官向けのサイバーセキュリティ研修を2025年2月3日~5日の期間タイで実施した。
ITUについて:
国際電気通信連合(ITU:International Telecommunication Union)は、電気通信に関する国際連合の専門機関で、1865年に万国電信連合とし電気通信の良好な運用により諸国民の間の平和的関係及び国際協力並びに経済的及び社会的発展を円滑にする目的で設立され、サイバーセキュリティ含め、世界がICTの発展を促進する上で重要な役割を果たしている。特に、ITUが公表しているグローバルサイバーセキュリティ指数(GCI)は、各国のサイバーセキュリティ対策の成熟度を測るための重要な指標となっている。
開会の挨拶概要
- 【ブータン首相府次官】デジタルを活用し強靭な社会を目指すブータンの第13次五カ年計画の達成におけるサイバーセキュリティの重要性を強調し、様々なイニシアチブを通じてブータンのデジタル変革を支援し、サイバーセキュリティ能力強化を支援するJICAとITUの重要な役割について触れた。
- 【ITUアジア太平洋事務所長】インターネット接続の拡大とサイバーリスクの増大を強調し、国家サイバーセキュリティフレームワークの主要な分野を特定する上で、グローバルサイバーセキュリティ指数(GCI)の役割を紹介した。また、ブータンコンピュータインシデント対応チーム(BtCIRT)の設立時のITUの協力事例を挙げ、今後の支援の継続ならびに、JICA-ITU連携のような多機関アプローチの重要性を強調した。
- 【JICAタイ事務所長】ブータンで構築中の4バンク(保健関連データ)のような機密性の高いデータの保護に対し、強固なインフラを確立しサイバーセキュリティ強靭性の強化を試みるJICA支援の重要性を強調した。また、タイ事務所が広域支援とし実施しているASEAN-日本サイバーセキュリティ能力構築センター(AJCCBC)の広範な取り組みを概説した。
研修の概要
- 【机上シミュレーション】①ITUが独自に開発したカードゲーム(仮想国家内での対策シミュレーション)を用い、平常時のサイバーセキュリティにおけるリソース配分(予算・人員)の議論を2チームに分かれ実施・発表した。②ITUが作成した国家レベルのサイバーセキュリティインシデント(参加者の組織それぞれが登場)に対し、2チームに分かれ対応方法を議論し発表した。
- 【視察】①タイのサイバーセキュリティ対策組織を訪問し、サイバーセキュリティ先進国の取り組み事例をヒアリング・視察した。②マヒドン大学を訪問し、サイバーセキュリティ専門の修士課程での教育内容や、その他IT系コースの取組をヒアリング・視察した。
ITU Posts
開会の挨拶をした3名(【左】ITU奥田所長、【中】ケザンデキ首相府次官、【右】JICAタイ事務所鈴木所長)
ITUが開発したサイバーセキュリティカードゲームに真剣に取り組む参加者1
ITUが開発したサイバーセキュリティカードゲームに真剣に取り組む参加者2
ブータンの緊急サイバーセキュリティオペレーションの1スライド(画像生成AIを活用しリアリティを演出)
National Cyber Security Agency (NCSA) – Thailandの視察1
National Cyber Security Agency (NCSA) – Thailandの視察2
マヒドン大学の視察1
マヒドン大学の視察2