少しずつ根付きつつある、公共交通という選択肢
~現地の言葉で語られ始めた「これからの交通」~
「路線延伸に伴い整備された新たなバス停(バベルダオブ島)」
「新ユニフォームで乗客を迎える運転手と公共バス」
2026年4月、パラオで進む公共バスの取り組みが、現地紙「Island Times」(2026年4月掲載)で紹介されました。そこにあったのは、大きな成功を誇る言葉ではなく、これまでの積み重ねの上に、さらに発展させていこうとする静かな意思でした。
2026年4月3日、パラオで公共バスのフェーズ2運行が開始されました。ルートの拡大や運行頻度の見直し、アプリを活用した情報提供など、サービスの改善が段階的に進められています。
パラオでは、2024年の路線バス運行開始以降、試行と改善を重ねながら運行が継続されてきました。今回のフェーズ2は、そうした約2年間の取り組みを踏まえ、サービスの拡充へと一歩踏み出したものです。
こうした動きを伝えた現地紙「Island Times」では、カウンターパートである政府関係者が、自らの言葉で公共交通のこれからについて語っています。「より多くの人に使ってもらいたい」「少しずつでも良くしていきたい」―その語り口からは、制度として整えるだけでなく、実際に使われるものとして育てていこうとする姿勢が感じられました。
長年にわたり自動車に依存してきたパラオの社会において、公共交通の定着は容易ではありません。それでも、行政、島民、観光客といったそれぞれの立場の人々が、同じ方向を向きながら関わり始めていることは、現地で確かに実感されています。
本プロジェクトではこれまで、運行計画の策定や運転手の育成、広報活動の支援などを通じて、基礎となる仕組みづくりを進めてきました。現在の運行も、試行にとどまらず、現地政府が自らの予算の中で主体的に事業として担いながら継続されています。
目に見える大きな変化はまだ限られているかもしれません。しかし、外から導入された仕組みが、現地の中で自分たちのものとして運営され始めていること。それこそが、この取り組みの確かな前進であり、公共交通という選択肢が少しずつ根付きつつある証と言えます。
公共交通という文化は、一朝一夕に築かれるものではありません。それでも、これまでの積み重ねの上に始まったこの新たな段階が、今後どのように育っていくのか。その過程に寄り添い続けることが、技術協力の本質なのかもしれません。