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ケニア国内での研究活動が着々と進んでいます

日本国内に加えて、ケニア国内においても、研究活動が始動しています。事業開始以降、両国研究者間の交流を通した連携強化、また詳細研究計画の策定と準備が進んでいます。

2024年9-10月には、相手国側研究機関であるケニア中央医学研究所(Kenya Medical Research Institute: KEMRI)及びマセノ大学の研究者5名が来日しました。日本滞在中、日本側代表研究機関である長崎大学を訪問し、情報交換、プロジェクトの実施計画やスケジュールに関する協議を通し、関係者間の理解を深めました。また、長崎大学においては、KEMRI研究者による講義を開催し、研究者や学生、職員50名に対し、ケニアにおける顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Diseases: NTDs)の現状、課題、進行中のプログラムについて説明しました。さらに、KEMRI研究者は、本プロジェクトの参加・協力機関である神戸大学、島津製作所、東京女子医科大学などを訪問し、研究に関する意見交換を進めました。

日本側研究者のケニア訪問も頻繁となり、2024年10月には、本プロジェクトチーフアドバイザーである長崎大学濱野真二郎教授がケニアを訪問しました。チーフアドバイザーのケニア滞在中、KEMRIと共催で講演会を開催し、住血吸虫症の撲滅における日本の経験の共有を行い、ケニアの研究者112名(対面31名、オンライン81名)が参加しました。また第2回プロジェクト合同調整委員会(Joint Coordinating Committee: JCC)が開催され、関係者が出席し、進捗状況、今後の計画が議論されました。2024年9月に加えて、2025年1-2月期には神戸大学から環境DNAモニタリングチームがケニアを訪問し、環境中の拡散濃縮・検出に関する技術移転に着手しました。2025年1月期には北海道大学、帯広畜産大学を加えた動物モニタリングチームがケニアへ出張し、ケニア野生生物公社(Kenya Wildlife Service: KWS)など現地側研究機関との協議、研究地域の視察にあたりました。

これら交流の機会を通し、両国研究者間の連携が強化され、詳細な研究計画の策定とケニアにおける活動を開始しています。
ケニア国内における研究活動に際しては、同国政府の規定に準じた活動が求められます。本プロジェクトは、研究活動開始に必要な詳細研究計画の策定、研究倫理委員会による承認、ケニア国家科学技術イノベーション委員会(National Commission for Science, Technology and Innovation: NACOSTI)による承認、他関連行政からの活動承認、名古屋議定書(注1)に対応した活動を可能にするための手続きを進めています。
これまでに、社会・行動変容コミュニケーション(Social Behaviour Change Communication:SBCC)(注2)にかかる研究計画(KEMRI 科学倫理審査ユニット: Scientific and Ethics Review Unit; SERU, 2025年2月8日付)、住血吸虫の中間宿主である貝、水とヒト以外の哺乳類への住血吸虫症感染伝播モニタリングにかかる研究計画(KEMRI SERU, 2025年3月6日付; MASENO UNIV SERU, 2023年10月24日付)が策定され、研究倫理承認の取り付けを完了しました。
また、日本出張中に習得した理解を基に、KEMRI内に住血吸虫の生活環(注3)を再現するためのラボも準備されました。本プロジェクトで期待される創薬へ向けたリード化合物(注4)の発見については、小動物モデルを用いて住血吸虫症の生活環を再現し、ヒット化合物(注5)の効果を評価する必要があります。専用ラボは、2024年末までに整備され、2025年2-3月期に研究対象地域であるクワレ・ビタの異なる2地域から住血吸虫の中間宿主である淡水に住む巻貝を持ち込み、これらの貝の飼育を開始しました。今後、飼育中の貝がラボでの飼育環境に馴れた頃に、住血吸虫卵をラボへ持ち込み、(ミラシジウム)幼虫を孵化させ、幼虫が巻貝に感染させ生活環を再現します。

(注1)2010年に開催された生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)において採択された、遺伝資源への"アクセス"とその利用から得られる"利益の配分"(Access and Benefit sharing:ABS)に関する議定書。公正かつ衡平な利益配分を含め、生物多様性条約の規定に実効性を持たせるため、締約国が実施すべき具体的措置を決めたもの。日本は、2011年5月に議定書に署名し、2017年5月に議定書を締結しました(2017年8月20日、発効)。
(注2)個人・グループにおけるコミュニケーションやメディアなどのコミュニケーション手法を用いて、対象となる人々に対象となるメッセージを伝え、望ましい健康行動を促進するアプローチ。
(注3)住血吸虫の生活環とは、寄生虫である住血吸虫が、中間宿主(巻貝)、終宿主(ヒトなど)を移動しながら、卵から成虫になり、次の世代を生み出すサイクル。
(注4)創薬研究において、薬となる可能性のある化合物の内、特に医薬品開発の基礎となる化合物。
(注5)同、創薬研究において、薬効の可能性を示す化合物。ヒット化合物の中から、将来の医薬品開発の基となる化合物をリード化合物という。

第二回合同調整委員会の様子(2024年10月24日)

チーフアドバイザー・KEMRI講演会の様子(2024年10月24日)

貝の生活環再現のため、使用する牡蠣貝殻を砕き、洗浄作業にあたる本プロジェクト
現地コンサルタントとKEMRI職員(2025年2月25日クワレ)

KEMRIラボを視察する日本研究機関研究者(2025年1月10日)

KEMRI内専用ラボにて、貝の生育状況を確認するケニア研究者(2025年4月)