2025.1.23 エルサルバドル国立大学にて海底地震観測とスロー地震に係る講演会を開催しました。
京都大学防災研究所の伊藤准教授及びメキシコ国立自治大学(UNAM)地球物理学研究所のプラタ研究員が、1月23日にエルサルバドル国立大学(UES)にて海底地震観測とスロー地震に関する講演を行いました。講演会には、キンタニージャUES学長、グラナドス農業科学部長を始め、農業科学部及び自然科学部の教員・学生、環境・天然資源省環境監視総局(MARN/DGOA)、公共事業運輸省気候変動・リスク管理戦略局(MOPT/DACGER)、総務・国土開発省市民防災局(MGDT/DGPC)、首都圏計画事務所(OPAMSS)等から約60人が参加しました。
講演では、海底地震観測の手法やスロー地震のメカニズムが説明されたほか、2011年に発生した東日本大震災を振り返り、地震に関する理解を深めることが津波を伴う巨大地震発生のメカニズムを解明していくことにつながることが言及されました。加えて、本プロジェクトの最終目標として津波発生モデルの精度を上げ、それらの研究成果を社会に対し広く発信・普及することで、巨大地震・津波に対する事前準備として社会貢献していくことが強調されました。
エルサルバドルは「ハンモックの谷1」と呼ばれるほど地震が頻発する国ですが、今回講演のテーマとなったスロー地震という概念は余り知られておらず、地震・津波発生のメカニズム解明にとって重要な海底地震観測も実施されたことがないため、本プロジェクトでの観測が初めての試みとなります。関係者の本プロジェクトに対する期待は高く、講演会終了後も多くの研究者や学生が講演者に対し質問を続けていました。
1 エルサルバドルの首都サンサルバドル周辺では昔から頻繁に地震が発生することから、スペイン人征服者が首都サンサルバドルを「ハンモックの谷」と呼んだ。近年では、地震が頻発する国の例えとして、首都圏のみならず、国全体のことを指して「ハンモックの谷」と呼ばれるようになった。
スロー地震に関する講演を行うUNAMプラタ研究員及び京都大学・伊藤准教授。
本プロジェクトの社会貢献の意義と大学の使命が協調していることについて強調するキンタニージャUES学長。
スロー地震に関する説明を興味津々に聴講する参加者。