オープンクラスルーム「自然教室」を通して学んだこと

2018年10月16日

【画像】ヘルツェゴビナの大自然をバックに集合写真

ヘルツェゴビナの大自然の中で

2018年10月16日プロジェクトとモスタル市スポーツ協会(SSGM)は『自然教室』を開催し、モスタル市の小学校14校から41名の6年生の生徒と14名の先生が参加しました。これは、プロジェクトで支援している新しい保健体育カリキュラムにも関連するもので、自然の中で子どもたちが体験を通して、様々な視点から『健康と環境について』学ぶことを目的として実施しました。

イベントは、モスタルマウンテンバイク協会の全面協力の下、同協会が管理運営を任されているフォルティッツァの丘にある山小屋で行われました。この丘はモスタルの街全体と周囲の山々を見渡すことができる素晴らしロケーションにあります。子どもたちはそこで健康や環境についての授業を受け、マウンテンアクティビティを体験し、その後は周囲の自然観察をしました。これまでSSGMは主にサッカーやバスケットボールなどのスポーツ種目をテーマとしたイベントを実施してきたのですが、このような保健の授業と自然の中のアクティビティをテーマとしたイベントは初めての試みです。

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オープニングセレモニー

健康と環境についての保健授業

まずは、モスタル・ジェマルビイェディッチ大学のポポ教授による保健授業です。先生の授業では、普段意識することが少ない身の回りにある自然の価値や、自然の中で活動する際に気をつけなければならないこと、危険なものは何か、方角を知るためにはどうすればいいのか、自然が人間の健康にどのように影響を与えるのかなどについてお話がありました。また、モスタル市が位置するヘルツェゴビナの地理や歴史、この国が抱える環境問題やゴミ問題について、クイズ形式でわかりやすく教えていただきました。

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ポポ教授の保健授業

マウンテンアクティビティ

その後、ジップラインとボルダリング体験をしました。施設はこの夏に新しくオープンしたので、多くの子どもたちにとって初めての体験となり、みんな興奮気味で順番も待ちきれないといった様子で何度もチャレンジしている姿が見られました。

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ジップライン体験

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ボルダリング体験

自然観察とゴミ拾い

最後に、山小屋周辺の自然観察をしながらゴミ拾いをしました。自然観察では、この地域の特産でもあるローズマリーやセイジなどのハーブを観察し、その効能などについて学びました。また、一見するとあまりゴミは落ちていないように見えたのですが、子どもたちがゴミを拾い、かなりのゴミが集められました。

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自然観察の様子

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ゴミ拾いの様子

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集められたゴミ

参加者の感想

参加した子どもたちは、イベントを通じて「自分たちの生活は自然によって守られているのだと知った」「人間は自然なしでは生きられない」といった大切なことに気づいたようです。また、「普段は気づかないけれど、自然の中にある危険についても知ることができてとても良い経験になった」「いろいろなごみが思ったよりもたくさん落ちていて、ゴミを捨てる人たちは良くないと思った」「ゴミ箱をもっと設置した方がよいと思った」などの感想が聞かれました。また何より「他の学校の友だちがたくさんできた!」と笑顔で話してくれ、改めてこういったイベントを通しての交流が大切だと感じました。

また、先生たちからも「このような外での体験を通して学ぶことは子どもにとって非常に楽しくて意義のあるもの」「他の生徒たちにもぜひ体験させたい」といった感想がありました。

SSGMのシニアスポーツマネージャーのジェナン・シュタ氏は以下のような感想を述べています。

「私たちはとても美しい自然にあふれた国に住んでおり、未来を担う子どもたちにこの美しい自然を残すためにできることはすべて尽くさなければなりません。環境教育において、机上での勉強と体験型の学びの組み合わせは、自然を知り、その恩恵を感じ、自分たちがどのように自然保護に貢献できるかを学ぶ最も良い方法です。このような学びは子どもたちにとって不可欠であり、その重要性は、知識の習得や精神的および社会的な発達を促すばかりでなく、子どもたち同士の連帯感を醸成する機会にもなります。子どもが物事の本質を学ぶ際、体験を通して学ぶことでより学びを深めます。体育教育を通じて、サッカーやバスケットボール、ハンドボールといったスポーツを学ぶだけではなく、このような実践的な保健授業が、健康的なライフスタイルを獲得するための意識を変えることに繋がることを願っています。」

後日談

今回のイベントでは、ひとつの課題が子どもたちに与えられていました。それは、学校に帰ってから他の生徒たちに自分たちの経験を共有することです。いくつかの学校が発表会に招待してくれましたので、その一例をお伝えします。

グノイニッツェ小学校では、11月8日、43人の6年生が参加し、イベントに参加した3名の生徒のプレゼンテーションを聞きました。発表をした生徒も、聞いていた生徒も熱心に取り組み、素晴らしい発表会でした。校長先生からも、「このような取り組みは生徒にとって素晴らしい経験となるので、これからも学校独自で実践していきたい」との感想がありました。

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参加した生徒による発表

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発表を聞く生徒たち

【画像】発表会の最後にみんなで記念撮影