キューバの名産品(ロンの話)

2017年11月20日

2017年10月

キューバの名産品と言えば、葉巻とラム酒(スペイン語でロン)とコーヒーですが、今日はラム酒(ロン)のお話です。日本でラム酒といえばハバナ・クラブ(HABANA CLUB)が有名ですが、他にも美味しい銘柄はいろいろあります。現地の人のお薦めで日本人の間でも人気があるのがサンチアゴ・デ・クーバ(SANTIAGO de CUBA)。キューバ東部産のロンで、ハバナ・クラブに比べ、やや甘さ控えめで喉越しにスッキリ感があります。一度飲むとその洗練された味の虜になりますが、問題は、ここキューバにおいてもなかなか手に入らないこと。大手ホテルの売店等に、ついでの時に顔を出して、めでたく巡り会えば数本まとめ買いしなければなりません(物不足のキューバではあった時に買うのが生活の知恵?)。

ロンには、モヒートやダイキリ等のラム酒カクテルに使われる透明なロンと特有のトロリとした感触を楽しめる熟成された茶色のロンの2種類があります(どの銘柄にもだいたい3年物、7年物、12年物、15年物、それ以上があります)。カクテル用の透明なロンは市内のマーケットで安く手に入りますが、茶色の高級ロンには千ドル以上のものもあります(最高級クラスは瓶のフォルムも格調高く、立派な木箱入り。一度は飲んでみたいものです)。

日本ではキューバ産ロンは、手頃な中価格帯がネットショップでも売られていますが、その上のクラスはなかなか手に入りません。こちらでは高級ロンはお土産品として重宝されています。個人的にはどの銘柄も7年物あたりになると十分美味しいのですが、その上のクラスになりますと、最初の1杯はやはり格別。キューバ赴任のありがたさを実感します。

ロンの飲み方は各自の好みでいろいろ。海岸、プールサイドではカクテルが似合いますが、砂糖がたっぷり入っていますので、注文の際には砂糖抜きと言ったほうがいいかもしれません。一方、美味しく熟成したロンは何といってもストレートが一番。甘ったるい香りとともに舌から喉にかけ、ジワーと広がる味の奥深さは最高です。

こちらでは新しいロンを飲む際、キャップを開け、ロンの材料であるサトウキビの豊穣に感謝するために、2、3滴を地面(大地)に振りかけるのが習わしとなっています。元々は宗教的な儀式だったと言われていますが、今ではロンを飲むにあたっての約束事のようになっています。家の中ではさすがに床に振りかけることにできませんが、屋外で飲む際は、ロン通になった気分で試してみてはいかが?キューバ人から注目されること間違いなし!

(チーフアドバイザー:北中 真人)

【画像】

ロンを使ったキューバの代表的なカクテル、モヒート。
出典:キューバ国基礎穀物のための農業普及システム強化プロジェクト・チーム