キューバの名産品(葉巻の話)

2018年7月20日

2018年4月

キューバの名産品と言えば、葉巻とラム酒とコーヒー。今日は葉巻のお話。マフィア映画等でよく奥の部屋でボスが足を組んで手にしている葉巻。恰幅のいい男性が吸っているイメージですが、世界ではキューバ産が圧倒的な人気。キューバの気候と土壌に合っているのでしょう(原料の葉は主に西部のピナール・デル・リオで生産されています)。元々はスペイン人がやって来る前に住んでいたタイノ族が吸っていたもの。

代表的な銘柄は5種類あり、その中でも最高級品はコイーバ(COHIBA)。2016年に製造開始50周年を迎えたコイーバですが、元々は60年代にカストロ元首相のお気に入りとなり、外交用の贈答品としても用いられ、その後、世界ブランドとなりました。社会主義国キューバが世界に誇る「革命の香り」といってもいいでしょう(ちなみにもう一人の英雄チェ・ゲバラはモンテクリスト銘柄を愛用していたようです)。葉巻は基本的に手作業で作られ、長さも太さもいろいろあり(長いものは20cm以上)、どれがお薦めなのかわかりにくいのですが、味(ライトボディ、ミディアムボディ、フルボディ)と指のフィット感(太いものは2cm以上)、吸う時間(長さ等によって20~180分)でだいたい好みが決まってくるようです(もちろんお値段も重要な要素)。

葉巻はタバコとは違い、煙を肺まで吸い込まず、口、喉と鼻の間で煙を回し、香りを楽しむものです。タバコのように肺からのニコチン摂取による感覚とは異なり、葉巻特有の何ともいえない香りが愛好者を虜にするようです。しかし、喉や鼻の粘膜からのニコチン摂取は当然あり、常習性になる危険はあります。また、発ガン物質のタールもたっぷりと入っていますので、喫煙場所と頻度には注意が必要でしょう。しかし、葉巻は紳士の嗜みという殿方にとっては、ラム酒との組み合わせが至極のひと時だとか。

キューバの風土にあった葉巻。伝統を守り、品質管理をしっかり行えば、世界ブランドに成長するという好事例。キューバは、今や世界中から400万人の観光客が訪れる観光立国。風光明媚な海岸、50年代、60年代の風物と現在の不思議なマッチングに加え、治安の良さが人気の秘訣ですが、葉巻を例に、伝統を守り、古き良きキューバを維持すれば(今後、増え続ける観光客に対し、効率化との兼ね合いが難しいところ)、観光セクターはさらに発展するでしょう。(チーフアドバイザー:北中 真人)

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ピナール・デル・リオの農業組合ではタバコの生産も扱っている。
出典:キューバ国基礎穀物のための農業普及システム強化プロジェクト・チーム