地方行政についての中米国際セミナーを開催

2022年10月14日

2022年10月13、14日の2日間の日程で、JICAと中米統合機構事務総局(SG-SICA)と中米農牧大臣会合技術事務局(SE-CAC)の3機関共催による「地方行政」に関する中米国際セミナーを、エルサルバドルの首都サンサルバドル市内で開催しました。参加国は、エルサルバドル、グアテマラ、ベリーズ、ホンジュラス、ニカラグア、コスタリカ、パナマ、ドミニカ共和国のSICA加盟8か国です。

本セミナーの目的は、SICA加盟国内でJICAの協力により実施された、及び実施中の地方行政能力強化案件の経験と成果を、SICA加盟国関係者間で共有することにより、JICAの二国間協力の成果の持続性を確保するとともに、その課題を整理し、当該分野における地域協力の可能性について議論することです。そして、本セミナーを通じて期待される成果は、以下の3点です。

1)SICA加盟国内で実施されてきた当該分野のJICA協力の成果や教訓が参加者間で共有され、成果の持続性が確保される。
2)他国の地方開発や地域振興に資する地方行政の施策、地域マネジメントのプロセスや政策・制度面のメカニズムの知見・経験から、自国の地方自治体運営の在り方やそれを支援していく中央政府の役割などについての振り返りを促す。
3) SICA地域内のグッドプラクティスの中から、複数国においての展開が期待されるものを洗い出し、今後の地域協力の可能性を議論する。

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地方行政中米国際セミナーオープニングセレモニー

初日は、基調講演、各国のパネル展示、及びオープニングセレモニーです。JICAの基調講演は、エルサルバドル、ニカラグア、ホンジュラスの3か国で実施中の地方行政案件で、総括を担う有本稔専門家が行い、「参加型の社会開発モデルを用いた行政と、地方政府が民主的な行政を行うことの有用性を説明し、そこから内発的な地域開発やセクターワイドの組織間連携が生み出される可能性」について述べました。オープニングセレモニーでは、8月に就任したばかりのWerner VargasSICA事務総長が挨拶を行い、本分野における地域協力の重要性と、開発パートナーとしてJICAに対する期待が述べられました。

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左から、JICAエルサルバドル事務所小園所長、バルガスSICA事務総長、ロドリゲスSE-CAC事務局長

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展示された各国の活動を説明したパネル

2日目は、午前中に各国の地方行政についての発表が行われ、午後にはグループワークを行い、テーマ1「地方行政の参加型計画サイクル確立のための課題と必要なアクション」とテーマ2「持続的な地方開発のための社会参加による計画策定及び実施監理支援における中央政府の役割」について、意見交換を行いました。2日目の各国発表に対する質疑応答やグループディスカッションは大変盛況となり、様々な提案や経験値が共有され、各国は自分たちの立ち位置を確認する機会となりました。

最後に、地域協力の枠組みにおける今後の展望についてのセッションで、JICA とSICA組織間の可能な戦略的連携を深めていくことが重要との認識から、地域機関であるSICAが果たせる役割をまずは明確にしていくことが必要と指摘されました。例えば、各加盟国に成果共有の場を提供し、加盟国間の政策面での主流化、標準・共通化を促進するためにSICAが触媒的役割を果たしていく可能性です。

地方自治体による住民参加型社会開発行政モデル(ローカルガバナンス)は、農村開発や地域開発に係る様々なアプローチ手法との親和性が高く、当モデルは、分野横断的テーマ、セクターワイドそして、各テリトリーレベルでの諸課題に対応できる幅広いプラットフォームになり得ます。また、各国の特性を尊重して開発されたモデル・手法は、相互に補完的でもあることから、これらのモデル手法を取り纏め、地域内での共通するプラットフォームとしてWeb上でのナレッジサイトを立ち上げ、ダウンロードできるようにしていくことで、広く各レベルでの政策担当者(意思決定者)へのアクセスを常時確保していくことが期待できます。どの機関がこれを主導的に担っていくのかなどは、今回の地域セミナーのフォロー活動として、今後明確にしていく必要があるでしょう。今後の地域協力へのスタートラインにまずは立てたことが、今般のセミナー実施の大きな意義でありました。

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グループワーク