第二回SATREPSカンファレンスの開催

2017年11月17日

2017年11月16日から17日の2日間に渡り、京都大学宇治キャンパス生存圏研究所木質ホール内講堂にて、第二回SATREPSカンファレンスを開催した。これは、2016年11月にボゴールで開催された第一回SATREPSカンファレンスから一年が経過した現時点でのプロジェクト進捗について報告するとともに、日本側の関連研究者に本活動を広く周知することを目的として実施したものである。

本プロジェクトでインドネシア側研究代表機関の代表者を務めるインドネシア科学院(LIPI)ボゴール植物園園長Dr. Didik Widyatmokoを始め、インドネシア側でプロジェクトを担当する主要研究者11名が参加した。

カンファレンス初日は、日本側研究代表者の京都大学生存圏研究所梅澤教授とDr. Didikによるこれまでのプロジェクト進捗について概要報告後、インドネシアでライフサイクルアセスメント(LCA)分野の第一人者であるLIPI化学研究所のDr. Edi Iswanto Wilosoによる本プロジェクトにおけるLCAに関する特別講義、国立研究開発法人理化学研究所環境資源学研究センターバイオマス工学研究部門合成ゲノミクス研究グループ松井南部門長・グループディレクター、JICA農村開発部 農業・農村開発第一グループ第一チーム平知子課長、東京大学生産技術研究所エネルギー工学連携研究センター機械・生態系部門堤敦司特任教授3名による基調講演が行われた。

カンファレンス二日目は、バイオマス植物生産のための施肥技術の確立、熱帯荒廃草原の植生回復、高エネルギー含有イネ科植物開発、イネ科植物を原料とした低環境負荷木質材料の開発について、それぞれ日本側とインドネシア側の双方の研究者より進捗及び活動成果報告を行った。

また、カンファレンスに先立ち、インドネシア研究者達と協業する機会がますます高まる京都大学の若手研究者や学生を対象とした第3回地球規模課題セミナーも同時に実施された。同プロジェクトで現地に赴任しているJICA三谷業務調整専門家よりプロジェクトの実際の現場を通したインドネシア事情が紹介されるとともに、京都大学東南アジア地域研究研究所安藤和雄准教授による「バングラデシュにおけるアメリカ農業・農村開発技術協力から学ぶ:大学の実践教育研究の可能性」、京都大学大学院農学研究科森林科学専攻神崎護教授による「東南アジアの森林30年:森林消失と再生」の二つをテーマとした講演が行われた。今回の試みを通して、インドネシアの文化や社会的側面を理解し、同国研究者とのコミュニケーションが一層円滑化することで、研究活動の一助となることが期待される。

さらに、本プロジェクトに関わるインドネシア側の若手研究者のキャパシティデベロップメントのために研究発表の機会としてポスター発表を募集したところ、17稿の研究成果ポスターが提出された。本プロジェクトを契機として、多くのインドネシア研究者が本分野に関する課題に取り組んでおり、研究者育成の面でもインパクトが徐々に波及している様子が伺われた。

カンファレンス翌日には、日尼双方のプロジェクト関係者が改めて一堂に会し、現在抱える課題やその解決策、今後の方向性、進め方について検討する実務ミーティング行った。

本格的なプロジェクト開始から約1年半が経過したが、日本とインドネシアによる国際共同研究を通して、本プロジェクトの目的である熱帯荒廃草原の植生回復と持続的バイオマス生産の確立に着実に取り組んでくる。

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カンファレンス会場

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カンファレンス集合写真

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ポスターによる研究発表