【メキシコ】看護師・医師向けリアルタイムオンライン研修

2021年12月27日

メキシコの南東部ユカタン州にあるオーラン総合病院(Hospital General de Dr. Agustín O´Horán)とバジャドリド病院(Hospital General de Valladolid)では、2021年10月26日から、リアルタイムオンライン研修が始まりました。それぞれの病院の医師グループ、看護師グループを対象に週1回のペースで実施され、2021年末までに合計31回の研修が開催されました。

これまでケニアやインドネシアでは行われてきた同研修ですが、メキシコは対象国のうち中南米で初めての実施で、当初は言語や文化の違いが懸念されました。しかし、始まってみればフレンドリーな国民性もありすぐに打ち解け、有意義な質疑応答が飛び交いました。日本側関係者のことを現地で「友人」を意味する「アミーゴ」と呼び信頼関係を示してくれる場面もあり、さらに回を重ねるごとに、より充実した集中治療技術に関するやり取りができるようになっていきました。ユカタン州の州都であるメリダ市には、1919年(大正8年)、ロックフェラー医学研究所から野口英世博士が派遣され、黄熱病の研究をしていたという歴史があります。野口博士はメキシコの公用語であるスペイン語にも堪能で現地の医師らに丁寧な研究支援をしたと伝えられ、特にユカタン州で働く医療従事者にとっては、日本との結びつきは特別なもののようです。

メキシコでは、これまでに約400万人が新型コロナウイルスに感染し、このうち、約30万人もの命が奪われています。2020年2月27日に初めてメキシコで同ウイルスが発見されて以来、医療従事者は家族と会えない環境に置かれるなど、強い覚悟で感染者の治療に全力を注いできました。それまで集中治療の経験がなかった医療従事者が大半で、両病院では日々の業務における実践こそが人材育成の場でもありました。今回、本プロジェクトによって、同じように集中治療の現場で新型コロナウイルスと戦ってきた日本人専門家から学術的な知識を修得し、さらに、現場での苦労を分かち合えることは大変貴重な経験であると参加者全員が高く評価しました。

2022年1月からは、リモートカンファレンス、2月からは、実際の症例を扱うスケジュールドケアが開始される予定です。これまで研修を通じて培った強い信頼関係と技術的な相互理解を活かし、これからより一層、アミーゴたちと共に、遠隔集中治療技術能力強化に向けた協力を強化していきます。

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オーラン総合病院

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オーラン総合病院

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オーラン総合病院

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バジャドリド病院

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バジャドリド病院

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バジャドリド病院

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バジャドリド病院