【エルサルバドル】中南米最大級の病院における医師・看護師向け能力強化を開始

2022年3月11日

エルサルバドルでは、昨年の現地時間11月23日に第1回合同調整委員会(JCC)が開催され、メキシコに続いて中南米地域2か国目として、プロジェクト活動が本格的に開始されました。

首都サンサルバドル市内に位置するプロジェクト対象病院のエルサルバドル病院は、もともと国際見本市及びコンベンションセンターであった建物を病院へと改修し、コロナ禍の2020年6月に稼働開始した新しい施設です。病床数1000床規模を誇るこの病院は中南米でも最大級の病院であり、救急救命を非営利団体やコミュニティに頼らざるを得なかった同国の集中治療のキャパシティを大幅に強化する役割を担っており、その全床がCOVID-19患者対応に当てられています。医療従事者数も医師が400名、看護師が700名を超える大所帯となっており、また、本病院には最新のモニタリング設備を備えた中央司令室が設置され、集中治療専門医がそこでモニター越しに各患者の状況を見ながら、現場の医師や看護師に指示を出せる仕組みが構築されています。この仕組みにより、常勤の集中治療専門医は集中治療室(ICU)に12名、中級ケアユニット(IMCU)には2名と圧倒的に少ない体制でありながら、ICTを駆使することにより少ない専門医でも大規模病院での患者治療を可能とする1つのモデルとなっています。

プロジェクトでは、他国における対象病院と異なり、こちらの病院ではICUではなくIMCU強化のニーズに着目し、IMCUに勤務する集中治療を専門としない医師58名、看護師50名を対象にそれぞれ計8回ずつのリアルタイムでのオンライン研修セッションを2月までに終了しました。研修中は、日本の集中治療専門医および看護師と活発な質疑応答が行われ、同病院のエルサルバドル人医師、看護師に加えて、アルゼンチンやボリビアからも助っ人として同病院にきている集中治療医も参加し、国際色豊かな意見交換となりました。なかでも、人工呼吸中の患者の栄養管理に関して、チューブ等を使い、胃や腸などの消化管に栄養を直接送るための経腸栄養材(鶏肉や卵白、牛乳、豆等)をミキサーにかけて手作りして用いることがあるという現地の情報には、日本の専門医らも興味津々な様子でした。現在は次のステップとなるリモートカンファレンス(注)の準備が着々と進められています。

同病院においては、既に医療機材や遠隔モニタリングシステムが整備されているため、それらを活用して日本の専門医や看護師と現地の医療従事者をつなぎ、実際のコロナ患者の治療の場面で現地医師、看護師の力となれるよう、今後もプロジェクト活動を進めていきます。

(注)リモートカンファレンスでは、オンライン形式で日本とエルサルバドルの医師、看護師をつなぎ、エルサルバドル病院側からの症例発表と意見交換を行います。

活動現場での写真

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中央司令室の様子

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中央指令室で業務にあたるカウンターパートの専門医ら

【画像】医師とのリアルタイムオンライン研修の様子

【画像】看護師とのリアルタイムオンライン研修の様子