【トンガ】医師・看護師に対するスケジュールドケア

2022年5月20日

トンガの首都ヌクアロファにあるトンガ唯一の第三次医療施設(生命の危険に瀕している状況の患者に対し、高度な医療を24時間体制で提供する医療施設)であるバイオラ病院では4月5日からスケジュールドケアを開始しました。これは日本の集中治療専門医師・看護師が現地の集中治療室勤務の医療従事者に対して、供与したICT機材を利用し治療や看護のアドバイスを定期的(週1回)に行うものです。新型コロナウイルス感染症患者のみならず一般ICUの症例も対象に加えて実施しています。

医師向けに実施したスケジュールドケアでは、治療方針だけではなく伝統医療を信じる文化的側面や、保険制度等の経済的側面まで議論がおよび幅広い視点からの診療となりました。また、看護師のスケジュールドケアでも医療資源が乏しい中で、どういった看護ケアを行っていくかについて活発な意見交換が行われました。スケジュールドケア参加者からは、「私たちの仕事の助けになり、とても参考になる議論だった。」「議論は非常に目新しいもので、新しい技術への理解を深めることができた。」といったコメントがありました。

バイオラ病院におけるスケジュールドケアは、開始からこれまでに計8回、心内膜炎や敗血症性ショックなど8症例を実施し、今後も活動期間が終了するまで毎週行う予定です。バイオラ病院のICUだけでなく、救急や小児科、内科など他の診療科からも参加希望が出ているため、今後はスケジュールドケアを通して、トンガの医療者の教育的な役割を担い、参加者の知識や診療、看護のレベルが向上していくことを期待しています。

活動現場での写真

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供与機材(遠隔ICUシステムを含むICT機材:写真中央のベッド横機材)が設置された病室

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スケジュールドケアを行うICU看護師達