【セネガル】医師・看護師への研修から診療・看護への助言の開始へ

2022年5月30日

セネガル国ダカール州のダラルジャム病院では、2022年1月から本格的に活動がはじまりました。まずは1月から3月まで、ICUで勤務する医師・看護師の双方に、1回1時間、計8回のオンライン研修を実施。内容は、集中治療に必要な基礎知識とスキル、およびCOVID-19に関する基礎内容をまとめたものです。研修修了者数は医師26名中22名、看護師30名中26名と非常に多く、活発に質問も交わされ高い学習意欲が見られました。

続いて4月から5月には、医師・看護師それぞれ2回ずつ、計4回のリモートカンファレンス(症例検討会議)を開催しました。病院から過去症例を発表してもらい、「何がいけなかったのか」「もっとこうすれば良かった」など、より良い治療方針や看護ケアについて、ディスカッションを行います。徐々にセネガルと日本の医療現場の違いも見えはじめ、機器や技術の不足など、日本の専門家も対象病院のICUの事情について理解を深めていきました。

これらの活動と並行し、遠隔ICU通信システムの設置作業も順調に進みました。同システムにより、患者のリアルタイムな状態をベッドサイドモニターの鮮明な画像で確認できるほか、病院の電子カルテにもアクセスができるので、単なるオンライン会議以上に、より的確な助言が可能となります。

そして、5月24日(看護師)・25日(医師)からはスケジュールドケアがはじまりました。具体的な相談内容として、COVID-19による重度の肺炎患者に関して、マスクによる人工呼吸の治療が行われていたところ、より望ましい気管挿管(チューブによる人工呼吸)の選択肢について、現地事情を考慮した上で助言しました。また看護師のセッションでは、患者の状態を観察しながら呼吸が楽になる体位を助言するなど、モニター越しに実践的な議論が交わされました。セネガル側からは「外部の専門家から異なる意見や助言をもらえることはこの病院にとって大変ありがたいこと。このプロジェクトには感謝している。今後も多くを学んでいきたい」と、感謝の言葉が述べられました。スケジュールドケアは、今後も毎週行っていく予定です。

【画像】医師のリモートカンファレンス

【画像】遠隔ICU通信システムの組立作業の遠隔支援

【画像】

遠隔ICU通信システムのICUへの設置作業