マンスリーレポート(2017年10月号)

2017年10月31日

『みんなの学校:住民参加による教育開発プロジェクトフェーズ2』では、初等教育分野において、住民支援の校外学習に効果的なツールを導入することですべての児童の“読み書き”と“計算”の基礎学力改善を目指す『質のミニマムパッケージ』の開発と普及に取り組み、中等教育分野においては、アクセス、格差解消、教育の質の改善など、様々な教育開発課題の改善に貢献する“機能する”学校運営委員会(COGES)モデルの全国普及を実施しています。
この10月、初等教育分野においては、「質のミニマムパッケージ」読み書きモデルの改善へ向けて、7月に実施したインドでの経験共有セミナーでの学びを実践する「10日間集中読み書き速習活動」を実施しました。これは3年〜6年の児童に対し、毎日90分間、テキスト音読、音韻演習、単語遊び、文字書き演習など、様々な参加型活動を通して児童が能動的に楽しみながら読み書きの基礎を学ぶというものです。通常の授業とは全く異なる形態での活動に初めは戸惑っていた児童も、ほんの数日で見る見るうちに活発になっていっただけではなく、読み書きの面でも日々の成長が伺えました。日々飛躍的に伸びを見せる子どもたちに活動のファシリテーターを務めた中央・地方の行政官、プロジェクト関係者、学校の先生たちにとっても驚きの毎日でした。その結果はというと、初日(1日目)に実施した読みテストにおいて、対象の3〜6年生中約6割の児童がアルファベット文字すら読めず、その他4割も僅か文字の識別ができる程度だったのが(単語が読める児童は全体のわずか3.7%)、最終日(10日目)には、約5割の児童がアルファベット文字を、約2割の児童が単語を読めるようになり、そして約3割の児童が文章を読めるようにまでなりました。3年以上の学校生活でアルファベットの文字すら読めなかった子どもたちが、このわずか数日で見せた成長ぶりはまさに驚異的です。
一方の中等分野においては、9月から開始した中等学校運営委員会(COGES)の設立研修が4州ともに10月上旬で終わり、その後、教員・生徒といった関係者への報告会合や住民集会、COGES設立のための選挙集会がそれぞれの学校現場で実施され、無記名投票選挙によって選ばれた中等COGESが各地にて設立されています。それを受け、プロジェクトでは中等COGESメンバーの能力強化研修へ向けて、計画策定・リソース管理・COGES連合にかかる講師研修を対象4州全COGES監督官へ向けて実施しました。来月11月には選挙にて選ばれたCOGESメンバーを対象とした現場研修を開始します。

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「10日間集中読み書き速習活動」初日学力テストの様子

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「10日間集中読み書き速習活動」単語遊びの書き取り様子

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ニアメ州内中学校住民集会様子