マンスリーレポート(2017年11月号)

2017年11月30日

『みんなの学校:住民参加による教育開発プロジェクトフェーズ2』では、初等教育分野と中等教育分野、二つの分野にて活動しています。初等教育分野においては、住民支援の校外学習に効果的なツールを導入することですべての児童の“読み書き”と“計算”の基礎学力改善を目指す『質のミニマムパッケージ』の開発と普及に取り組み、中等教育分野においては、アクセス、格差解消、教育の質の改善など、様々な教育開発課題の改善に貢献する“機能する”学校運営委員会(COGES)モデルの全国普及を進めています。
この11月、「初等教育分野」では、2017/2018年度の『質のミニマムパッケージ算数・読み書き統合モデル』開発へ向けたパイロット活動を開始しました。対象とするのは53校、1年生〜6年生までの約7500名です。まずは、当モデルを導入するため、COGES委員長と校長に対し、質のミニマムパッケージ活動の計画策定研修を実施しました。今後、各対象校にて全児童への算数と読みの学力テストが実施され、その結果を共有する住民集会で活動実施の意思決定をした後、それぞれのコミュニティが有する様々な資源を駆使した活動計画が策定されます。
児童の学力の問題は、どこの学校でも等しく抱える切実な問題です。ただ、教員も保護者・住民も、“今の状況がオカシイのはなんとなくわかっているけど‥‥、どうしていいのかわからないし、自分たちでどうにかできるものとは思えないし…“と立ち竦んでいる状態です。そんなニジェールの学校現場にて、この「質のミニマムパッケージ」がひとつの“変革”の道しるべとなるよう、モデル開発に取り組んでいます。
なお、「質のミニマムパッケージ」モデルの効果には、現場のみならず、世銀やフランス開発庁など他ドナーも強い関心を示してします。今回のモデル開発を進めることで、現在、教育のためのグローバルパートナーシップ(GPE)等の支援により進められている「質のミニマムパッケージ・算数」普及対象の32万名の児童のみならず、今後、さらに多くの児童の読み書き計算の基礎学力向上へと繋がることが願われます。
一方の「中等教育分野」においては、先月実施された「中等COGES民主的設立」研修後、機能する中等COGESモデル普及対象の4州、約1000の対象校にて、住民集会や無記名投票による選挙が行われ、『民主的な中等COGES』が設立されました。それを受け、この11月は、新しく設立された中等COGESの委員長、会計、教員代表、そして校長を対象に、中等COGESの機能化に不可欠な、“計画策定能力”および“リソース動員・管理能力”の強化と、モニタリング体制構築へ向けた“中等COGES連合設置”のための能力強化研修を開始しました。特に地方の3州においては、研修参加率はほぼ100%に上り、中学校の停滞するCOGESと生徒の低い学力など学校の問題にかかる熱い議論が繰り広げられ、如何に中学校においても『機能するCOGES』による変革と教育改善が求められているか痛感させられました。この研修は今後12月中旬まで続きますが、その後、各地にていよいよ、『機能する中等COGES』へ向けて始動します。

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中等COGES計画策定・リソース管理・COGES連合設置研修風景

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「質のミニマムパッケージ」活動実施風景