マンスリーレポート(2019年4月号)

2019年4月30日

『みんなの学校:住民参加による教育開発プロジェクトフェーズ2』では、初等教育分野と中等教育分野、二つの分野にて活動しています。初等教育分野においては、住民支援の校外学習に効果的なツールを導入することですべての児童の“読み書き”と“計算”の基礎学力改善を目指す『質のミニマムパッケージ』の開発と普及に取り組み、中等教育分野においては、アクセス、格差解消、教育の質の改善など、様々な教育開発課題の改善に貢献する“機能する”学校運営委員会(COGES)モデルの全国普及を進めています。

「初等教育分野」では、児童の能動的な習熟度別学習法(Teaching at the Right Level:TaRL)と算数ドリルを組み合わせた「質のミニマムパッケージ」読み書き・算数活動が、対象101校の1年生から6年生約13000名の児童を対象に日々実施されています。2月に開始したこの活動ですが、1カ月目にはすでに現場の教員やファシリテーターから“子どもたちの読み書き・算数の学力が上がった”との声が上がるなど、上々の評判です。そこで、その真偽を見るため、開始から1カ月~1カ月後の3~4月に、児童の学力状況の伸びを測るミッドライン学力テストを実施しました。その結果はというと、短期間でありながら、すべての学年で、読み書き・算数ともに向上が見られるという嬉しいものでした。

読み書きにおいては、当初1年生の1%しかアルファベット文字を読める子はいませんでしたが、1カ月後にはその数は18%にまで上昇しました。2年生ではその数は約半数にまで上っています。また、当初、3~4年生で簡単な文を読める子は10%、5~6年生でも28%程度でしたが、今回その割合はそれぞれ20%、44%まで改善しました。

【画像】枠内:文字が読める児童の割合

【画像】枠内:文が読める児童の割合

算数においても、特に1~2年生で数字が読めるようになった子どもが大幅に増えたのみならず、四則計算問題で合格点に達する子どもの割合が、10~20ポイント以上の上昇がみられ、計算力の向上も伺えます。

【画像】合格点以上の児童割合(算数)(左:ベースライン、右:ミッドライン)

【画像】グラフ下部:四則計算別「計算ができる3~6年児童の割合」

『子どもたちみんなが読み書き計算ができるようになる』には、まだまだもうひと踏ん張り必要ですが、今後に期待できる結果といえます。今後も、6月の活動終了へ向けて、引き続きコミュニティへのサポートを続けていくとともに、より効果的なモデルの開発・改善へと努めていきます。

【画像】

「質のミニマムパッケージ」読みの学力テスト様子。読みのテストでは児童一人一人と対面式でテストを行います。