マンスリーレポート(2019年10月号)

2019年10月31日

『みんなの学校:住民参加による教育開発プロジェクトフェーズ2』では、初等教育分野と中等教育分野、二つの分野にて活動しています。初等教育分野においては、住民支援の校外学習に効果的なツールを導入することですべての児童の“読み書き”と“計算”の基礎学力改善を目指す『質のミニマムパッケージ』の開発と普及に取り組み、中等教育分野においては、アクセス、格差解消、教育の質の改善など、様々な教育開発課題の改善に貢献する“機能する”学校運営委員会(COGES)モデルの全国普及を進めています。

「初等教育分野」では、全国的な女子就学促進のため、みんなの学校「フォーラムアプローチ」による全国8州での「州教育フォーラム」開催をUNICEFと協働で支援することになりました。そこで、全国8州での開催を前に、全国8州の教育行政、地方行政関係者を一同に集め、女子就学問題への共通認識と戦略協議、特に全国8州でのフォーラムアプローチに基づく「州教育フォーラム」開催にかかる関係者決議を行うための、「州教育フォーラムキックオフセミナー」を開催しました。UNICEFが出資した今回のセミナー開会式には、ニアメ州知事、UNICEFニジェール事務所長、JICAニジェール支所長、UNICFEに出資するノルウェー大使が参列・挨拶を行った他、大統領夫人が開会宣言のスピーチを行い、当該問題にかかる政治的なコミットメントが明確に示されました。

開会セレモニー後の技術者会合においては、教育省からニジェールの全般的な就学・未就学状況、特にその中での女子就学状況、初等への入学状況や男女比率にかかる現状を共有し、問題へ行政とコミュニティが一丸となって取り組む必要性にかかる共通認識を醸成した上で、問題解決へ向けた戦略としてのフォーラムアプローチの有効性と手法を紹介し、当該活動への関係者コミットメントを促す協議を行いました。ニジェールにおいては、7~12歳の初等就学児童数のうちの4割以上の児童、約140万名もの児童が未就学であり、特に、そのうちの55%にあたる78万名が女子である状況です。その状況は小学校1年生への入学時点(7歳)ですでに見受けられ、7歳女子の50%が未就学であるという事実は、関係者に大きな衝撃を与え、その結果、地方行政、教育行政、そしてコミュニティへの働きかけを通して、地域関係者一丸となって、各州ともに当該問題に取り組むことが宣言されました。そして、最終的に、全国8州の地方行政(州知事代表)、教育行政(州教育事務所長、CGDES監督官)が、今回のキックオフセミナーの内容を州関係者と共有し、州ごとに女子就学促進へ向けた州教育フォーラムを開催、かつ、2019/2020年度の新入生女子就学数を増加させることを決議し、各々が、それにかかり具体的にコミットメントすることを誓約しました。

今後は、全国8州それぞれにて、州内すべての関係者を動員し、具体的な現場での活動実現へと結び付けるため、全国8州において、次々に州教育フォーラムが開催されます。プロジェクトでは、有効なフォーラムアプローチの導入が図られるよう、各州それぞれへの支援に取り組んでいきます。

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開会セレモニーにてパフォーマンスを行った女子児童たちと大統領夫人、他

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女子就学促進へ向けたコミットメントを宣言する大統領夫人