大分大学開発の狂犬病診断キットの普及と実装研究がフィリピン全土でスタート

2021年10月12日

本プロジェクトは、大分大学医学部微生物学講座(西園教室)と大分県の民間企業アドテック社が共同開発した狂犬病迅速診断キットを狂犬病蔓延国で狂犬病対策に活用することを目的としています。本キットは、フィリピンの狂犬病蔓延地域において、高い診断精度で狂犬病動物を診断できることを確認し、昨年2020年11月に国際誌で発表しています(注1)。

この成果を踏まえ、今後2年間プロジェクトを通じて検査キットをフィリピン農業省畜産局に提供し、同省傘下の全国15ヵ所(注2)の全ての動物疾病診断検査ラボで同キットの実装研究を実施することが合意されました。

(注2)RFO-CAR, RFO-Region I, II, III, IV-A&B, V, VI, VII, VIII, IX, X, XI, XII, XIII

【画像】左から齊藤JICA専門家、小豆澤JICAフィリピン事務所長、モラレス畜産局長、サントス動物衛生・福祉課長

そのキックオフとして、マニラ首都圏ケソン市の農業省本部で会議が開催され、農業省からは畜産局長や狂犬病診断検査ラボ長、さらに当プロジェクトの長期研修プログラムで長崎大学の修士号を取得した狂犬病対策担当官ら総勢8名、JICAからフィリピン事務所長や担当職員、専門家の5名が出席しました。

【画像】モラレス畜産局長(左から2番目)、齊藤JICA専門家(右から2番目)小豆澤フィリピン事務所所長(右)

この他、これまでプロジェクトを通じて供与された蛍光顕微鏡、超低温冷凍庫、ネットワーク機材等が活用されている畜産局管轄の狂犬病診断ラボやデータセンターを視察しました。

今後も、プロジェクトはフィリピン政府の2030年までに狂犬病を制圧する取り組みに寄与するための活動に取り組んでいきます。